「北方ジャーナル」2020年10月号が昨日15日、店頭に並んだ。今月のトップは、北海道大学(寶金清博新総長)の敷地内薬局誘致に浮上した出来レース疑惑だ。このほど北大は、公募型プロポーザルで敷地内薬局の運営事業候補者をメディカルシステムネットワーク傘下の「なの花北海道」に選定したが、この結果が出来レースだった疑惑が浮上。同大が経済的なメリットに重きを置いたプロポーザルのあり方にも疑問の声が相次いでいる。公立大学たる北大は守るべき“公共の利益”を忘れてしまったのか。本レポートはそんな事件の奥に潜む北大の闇に迫る。(画像は、北方ジャーナル10月号の表紙)

 その“北大の闇”は前総長の解任事件とも無関係ではないようだ。日常的なハラスメントなどを理由に萩生田光一文科相から北大総長を解任された名和豊春氏が8月下旬、公の場で初めて口を開いた。札幌での集会に姿を見せた名和氏は、約100人の参加者を前に「私が解任された本当の理由」と題して40分にわたり自身の潔白と事件の背景を訴えた。「北大総長解任の真相を究明する市民の会」が主催したこの集会。本号では、ここでの同氏の講演とジャーナリストと交わされた質疑応答を採録した。北大の事実認定と名和氏の釈明の隔たりはあまりに大きい。前代未聞の事件となった北大総長の解任は、文科省と北大の一部理事が結託した追放劇だったのだろうか。

 本誌が調査報道を続けているヒグマ駆除をめぐる銃所持許可取り消し問題で、8月下旬から9月初めにかけ、砂川市の住宅地でヒグマの目撃情報が相継いだ。市内での報告数はすでに昨年度1年間のそれを上回り、おもな出没地点に市職員らが毎日“出勤”している状況。一方、地元猟友会役員の銃所持許可をめぐる裁判では非公開の弁論準備手続きが進み、裁判所が現地調査にあたる可能性が浮上してきた。“撃てない町”の騒がしい夏は、まだ終わりそうにない。

 このほか物議を呼んでいる寿都町・片岡春雄町長への単独インタビューも要チェック。原発の使用済み核燃料から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分場をめぐり、国の文献調査への応募を検討している同町の問題が波紋を広げているのは周知の通り。本誌の取材に片岡町長は文献調査の2年間で最大20億円が交付されることなどを挙げ、「全国の自治体が原発の出口問題に目を背けており、寿都町から一石を投じるのがひとつの目的」と強調。「精密調査までやるかどうかは、将来を担う若い世代が方針を出すこともあり得る」として調査の最終段階にも前向きな姿勢を示した。

 これら以外にも注目記事が目白押し。発足したのも束の間、コロナ禍の直撃を受けた北海道エアポート(本社千歳)の蒲生猛社長へのインタビューもそのひとつ。新千歳空港をはじめ道内7空港の一括運営を担う同社は、北海道をさらに飛躍させる原動力と期待されて華々しく船出。しかし、この春以降は国際便ゼロ、国内便も激減状態で、まさしく「ゼロではなくマイナスからのスタート」に直面している。この危機を乗り越えるためトップは何を考え、どう行動しているのか──。

 本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル10月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。

※10月号主要コンテンツ
【報道】
■北海道大学の闇──敷地内薬局公募の怪。メディシスの「なの花」は、こうして北大に選ばれた
■北大・名和豊春前総長が解任の“真相”を激白。「私は、結託した文科省と北大の理事に追放された」
■北大総長解任事件を紐解く。調査報告書に捏造の疑い、崩れる解任根拠の信用性
■狩人、銃を奪われる④──ヒグマ出没止まらぬ砂川、銃所持裁判は現地調査へ
■“核のごみ・調査応募”に揺れる寿都町の片岡春雄町長を直撃。「周囲の反対は覚悟のうえ」
■首相批判封殺の波紋⑪──言論封殺、追及止まず国賠訴訟で弁論続く
■留学生急増の背景に②──解雇の教授が国際大を提訴、卒業生らは抗議の申し入れ

【ニュース】
■釧路市長選は現職と新人の一騎打ち。無風一転、元釧路市議が出馬を表明
■道警本部が記者クラブを「消毒」乗務員感染のタクシーがらみで
■アパマン爆発で地裁が猶予判決。44人重軽傷の責任、1人の肩に
■札幌市内でホームレス54人確認、地元支援団体が独自に路上調査
■寿都町の「核のごみ調査応募検討」で同じ後志管内の市民団体が緊急会議
■札幌学院大が新ロゴマークを制定、新札幌キャンパス開設に向け一新

【インタビュー】
●小樽・迫俊哉市長「コロナ禍を乗り越えながら近未来に向けたまちづくり」
●北海道エネルギー・木村信広新社長「エネルギーのベストミックスを進める」

【医療】
●「食べる歓び」を陰から支える歯科技工所 プライムデンタル(札幌)

【企業】
●プラ削減と農工連携を目指すエア・ウォーターの飲料事業。ゴールドパック恵庭工場とAWファーム千歳
●“夜の街”も注目する新たな光触媒内装工事「イオニアミストプロ施工」

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(61)──「ひきこもりながら生きる道」の現在。53歳男性が選んだ新たな生き方
●“農と食”北の大地から(188)──足寄発・放牧酪農とアニマルウェルフェア「ありがとう牧場」
●戦争遺産をめぐる旅(63)──悲惨な沖縄戦を伝える首里城地下の「第32軍司令部壕跡」


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