札幌在住アルペンスノーボード日本代表・住永翔吾さん(18)インタビュー「7年後の冬季五輪出場を目指す」

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(写真は、スロベニアで行われた2023年3月のワールドカップ大会。左から2人目が住永翔吾さん)

 ーー1級を取って以降の状況は。

 住永 1級を取得した翌シーズン、小学3年で初めて本格的なテクニカルの大会に出場しましたが、成績は全くふるいませんでした。全日本選手権に出るための中部予選だったのですが、子どもの枠がないので大人と混じって戦わなければならなかったからです。でも、それをきっかけに、本当に全日本選手権に出場したいと思うようになって、小4の時に初めてテクニカル競技で全日本選手権に出場することができました。

 その頃、アルペンスノーボードのことを知りました。それまで、テクニカルしかやっていなかったので、アルペンスノーボードって何だろうという感じでした。小4の時、ワールドカップ出場経験のある人がコーチになってくれて、そのコーチからアルペンを紹介されたのです。僕の中でオリンピックに出たいという気持ちが芽生えていたので、レースを本格的に始めようと、テクニカルと同時進行でアルペンも始めるようになり、小学5年で初めてアルペンスノーボードに乗りました。小学6年まではテクニカル競技がメインでしたが、中学1年になってアルペンに転向することを決め、レースに集中して活動することにしました。

 ーーテクニカルとアルペンの違いは、どんなことですか。

 住永 テクニカルは、フリースタイルのように、技術点で滑りの質を採点するものです。ターンサイズやコースを自由に使って、いかに良い滑りができるか、合計得点を競うもので、フィギュアスケートに近いと思います。一方、アルペンはタイムがすべて。スキーで言えば大滑降のようなものです。大きな違いは、オリンピックに繋がっているかどうかです。テクニカルにはオリンピックがありませんから、私にとって大きな転換になりました。

 ーーなぜオリンピックに出たいと思うようになったのですか。

 住永 今も同じ思いを持っていますが、小学2年の時に1級を取って初めて出たスクールの大会で優勝できたので、学校の先生に表彰状やメダルを持って行きました。周りの友だちたちから、「スノーボードって何?」と言われたのが、とても悔しかった。スノーボードについて皆はあまり知らないんだと思い、「こんなに面白い競技を知らないのは損じゃないか」と思うようになりました。楽しいスノーボードを沢山の人に知ってもらいたいという思いから、オリンピックに出て、スノーボードの楽しさを知ってもらおうと。それが小学4年の時でした。

 ーー中学1年以降の取り組みはどうでしたか。

 住永 中学1年でアルペンに取り組むようになって、中学3年の時に全日本スキー連盟(SAJ)のナショナルチームに選ばれました。中学2年のシーズンで全日本ジュニア選手権で3位になったからだと思いますが、それが今に繋がる最初の一歩になったのかなと思います。

 ーー札幌に移ったのはいつですか。

 住永 中学3年の夏に、両親の転勤に伴って札幌に引っ越してきました。両親は、自衛隊勤務なのですが、ともに長く関東勤務だったので、雪が多くて練習環境にも良いのではと、札幌を新たな赴任地に選んでくれました。

 ーー札幌は、練習環境も整っていますか。

 住永 自宅から近い盤渓スキー場は雪が固くて、スノーボードにはすごく良いと思いました。中学時代は、学校から帰ってきたら盤渓行きのバスに乗って、練習会に参加することがよくありました。今は学校法人角川ドワンゴ学園「N高等学校」で学びながら活動しています。N高は通信制なので、動画を見て勉強してレポートを書き、期末にまとまったレポートを書いて単位を取得します。自分のやりたいタイミングで授業を受けられますから、時間の使い方が比較的自由です。最初はなかなか慣れなくて、結構苦戦しましたが、夏の間に勉強に集中して、冬に入ると勉強をしながらスノーボードに専念することができるようになったので、N高には本当に助けられています。

 高校1年のシーズンでは、海外の大会に出たことはなくて、国内で経験を積みました。 高校2年になって少し力がついてきて、昨シーズン(2022年11月~2023年3月)に初めて国際大会を経験しました。海外の大会の雰囲気やスノーボードの盛り上がりなど、日本とはかなり違います。応援に来る人もたくさんいます。全米選手権に当たる大会に出場し、アメリカのワールドカップに出場している選手の滑りを生で見て、ワールドクラスはこういうことなのかと体感しました。

 ーー昨シーズンを振り返って、どんな思いがありますか。

 住永 いろいろなことがありすぎて、予測できなかったシーズンでした。海外に出てみたいという気持ちはありましたが、世界選手権、ワールドカップ、世界ジュニア選手権という大きな大会に出させてもらえるとは思っていなかったので、本当に出場できることをコーチから聞かされた時は、動揺してしまうくらいでした。そんなシーズンを終えて、経験もそうですし、海外の仲間もたくさん増えました。とても良いシーズンだったと感じています。

 ーー自信はつきましたか。

 住永 大きな大会に出ても平常心を保つことは、ある程度身に付きました。最初の海外大会では、緊張し過ぎて自分が自分でないような感覚で滑っていました。勝ちを取りにいくというよりは、とにかく滑り切ることに必死でしたから。

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