「北方ジャーナル」2021年9月号が本日14日、店頭に並んだ。今月のトップは道内最大マスコミ、北海道新聞の内部危機を追った「どうする、道新」だ。6月下旬に起きた旭川医大がらみの新人記者逮捕事件以降、道新社内で上層部への不信の声が止まらない。事後の読者説明には外部からも批判が相継ぐ中、社の公式な見解は報告記事の掲載を最後に1カ月近くも途絶えたまま。本社内では節度を欠いた宴会が原因とみられるクラスターが発生、さらには自社のかかわる事業に水を差す記事を電子版から削除する“事件”も起こり、折からの迷走に拍車がかかっている。創刊80年を控える地元ブロック紙は今、どこへ向かっているのか。(画像は、北方ジャーナル9月号の表紙)

 昨秋の被害告発からまもなく1年が過ぎる道立看護学院のハラスメント問題を追う今回の調査報道第5弾では、第三者調査の対象となる事案が延べ94件に上ることなどを報告する。第三者委らは7月中にも加害教員らへの聴き取りを終え、調査結果を取りまとめる段階に入ったとみられるが、結論が示されるのは早くとも本年10月。教員の処分や学生の救済に到るまでには、なお時間がかかりそうな状況だ。

 脱炭素社会の実現に向け盲目的に傾斜する我が国に警鐘を鳴らす「再生可能エネルギーを問い直す」も必読だ。風力発電の立地する地域で報告されている低周波・超低周波音が原因とみられる健康被害を見過ごすわけにはいかない。環境省はこの問題について「明らかな関連を示す知見は認められない」としているが、小樽で風力発電による超低周波音の研究を続けている住民は「巨大な風車になるほど、超低周波領域には莫大なエネルギーが集中している」と危機感を強めている。シリーズ5回目では被害者を封じ込める国の不確かな姿勢と超低周波音測定に関する疑問を追う。

 このほか「いま、ウイグルの声に耳を」と題した日本ウイグル連盟会長トゥール・ムハメット氏による緊急寄稿第2弾にも目を通してもらいたい。国際社会から非難を受けている中国・新疆ウイグル自治区にけるジェノサイド、民族虐殺とはどのようなものか。今回は、膨大な数のウイグル族が押し込められている「職業訓練センター」という名の強制収容所の恐るべき実態が明らかにされる。

 また北大で起きた「名和総長解任事件」を関係資料から紐解くレポート、我が国におけるコロナ禍の処方箋を説く片山さつき参議、コロナワクチン接種で「余市モデル」が注目された齊藤啓輔余市町長へのインタビューなどにも注目。本誌でしか読めない道内の事件、話題が詰まった北方ジャーナル9月号のお買い求めは、離島にいる方も都会に住んでいる方もお近くのセイコーマートへ。大手書店、アマゾンでも購入可能。北方ジャーナルへの問い合わせや注文などは、右側下方にある同誌のバナーをクリック。

※9月号主要コンテンツ
【報道】
■地元紙・80年めの迷走─どうする、道新。記者逮捕で内部の不信加速
■告発・絶望の学府〈5〉─パワハラ疑い 延べ94件。江差看護問題で調査続く
■道警不祥事から考える〈52〉─現金盗の警官「減給」。道警不祥事、本年上半期を速報
■再生可能エネルギーを問い直す〈5〉─“脱炭素”の御旗の下で回る風車の健康リスク
■名和総長を北大から追いやった「調査報告書」を紐解く。同志だった長谷川理事が政敵に
■“核のゴミ”レポートPART23─不安を残す道庁の弱腰。原子力機構の姑息なやり方
■“核のゴミ”をめぐり寿都町で地元女性たちがパネルトーク
■首相批判封殺の波紋〈19〉─「適法」示せなければ違法、野次訴訟で裁判所が明言

【ニュース】
■看護師遺族が室工大で啓発授業
■ミス・アース・ジャパンに北海道代表の吉田小夏さんを選出
■北広島市・16年ぶりの選挙戦で珍事、選挙公報で消えた対抗馬の名と写真

【緊急寄稿】
■いま、ウイグルの声に耳を②トゥール・ムハメット(日本ウイグル連盟会長)
思想改造の拠点、強制収容所。「職業訓練センター」300万人の悲劇

【インタビュー】
●日本の現在とコロナ禍の処方箋を片山さつき参議に訊く
●ワクチン接種で注目される「余市モデル」を齊藤啓輔町長に訊く
●「小樽・札幌ゲーセン物語展2」を企画構成した藤井昌樹さんに訊く

【経済】
●抗ウイルス塗布施工に取り組む株式会社クリーンコーポレーション
●エア・ウォーター物流レポート。稼働した「札幌低温第2センター」

【医療】
●終末期ケアに取り組んできた札幌南徳洲会病院が移転オープン

【特別掲載漫画】
●鈴木翁二特選漫画館 80年代の傑作《灯-ひ-》を特別掲載

【長期連載】
●ルポ「ひきこもり」(72)─レタポス主催のオンライン講演会から(後篇)
●戦争遺産をめぐる旅(73)─福島市、信夫山の山腹に眠る知られざる戦闘機製造工場跡



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