ハラスメントなど威圧的行為などを理由として北海道大学総長を解任された名和豊春氏(66)が、文部科学大臣を相手取って解任処分の取り消しなどを求める訴訟を12月10日、札幌地裁に提訴する。また、国と北大に報酬相当額や慰謝料約1500万円の損害賠償を求める。併せて解任後に名和氏が、北大に個人情報開示を求めたことに対し、北大が不開示したことへの取り消し訴訟も提起する。(写真は、訴訟提起について説明する佐藤博文弁護士=左と小野寺信勝弁護士)

 名和氏は、2017年の総長選に関わる学内意向投票1位を受け、総長選考会議による候補者決定を経て2017年4月に文科相から任期6年の総長に任命された。しかし、18年9月に総長選考会議議長や副議長、顧問弁護士がパワハラの公益通報を元に名和氏に辞任を求めたことを発端に、総長選考会議が調査委員会を設置。調査委員会は、名和氏の学内関係者への威圧的言動34件を事実と認定。総長選考会議は、そのうち30件を認定して文科相へ解任申し出を決議、19年7月に文科相に申し出した。文科相はそれを受け聴聞などを実施、28件を認定して20年6月に名和氏に解任を通知した。

 名和氏の代理人を務める小野寺信勝弁護士は、「総長選考会議や調査委員会の事実認定で、名和氏の弁明の機会が実質的に与えられておらず手続き的な瑕疵(かし)がある。また、文科相は28件の非違行為を認めているが、一つひとつが事実誤認、評価が誤っていることを主張する」とした。また、威圧的行為が解任に値するほどの理由にはならないことも主張する。

 さらに名和氏は、解任後に北大に対して在職中の個人情報について開示請求したが、北大はハラスメントの可否について不開示(存否応答拒否)処分とした。名和氏はこれを不服として不開示取り消し訴訟も提起する。代理人の佐藤博文弁護士は、「不開示というのは、あるかないかも含めて回答しないということ。これは極めて問題」と話した。

 国立大学総長(学長)の解任を巡る取り消し訴訟が提起されるのは、今回が初めて。佐藤弁護士は「この裁判は解雇事件とは性格が違い、違法性の確認訴訟というべきもの。手続きの違法性をはっきりとさせたい。大学側がどれだけ情報を開示するかがこの裁判のポイントになる」と指摘した。


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