札幌大学教職員組合(佐藤郁夫執行委員長)が2015年度期末・勤勉手当の支給割合引き下げやそれに伴う給与規定改正について、学校法人札幌大学(荒川裕生理事長)の行った行為が労働組合法の不当労働行為にあたると北海道労働委員会に救済を申し立てた事件について、道労働委員会は7日、札幌大学の行為を不当労働行為と認め救済命令を出した。(写真は、札幌大学中央棟)
法人は15年度期末・勤勉手当について1・98ヵ月から1・40ヵ月に一方的な引き下げを行った。またそれに伴う給与規定改正も行ったため、組合は16年2月、道労働委に救済申し立てを行った。道労働委は調査を9回、当事者への審問を2回実施、3回の委員会開催を経て7日に命令書を交付した。
実は、今回の救済命令の以前にも夏季一時金を巡って組合は、法人の行為を不当労働行為として道労働委に斡旋を申し立てたことがある。その時は労使双方で斡旋案を受け入れたものの、法人は履行せずに就業規則も一方的に変更、夏季一時金の引き下げの既成事実を作った。このため組合は道労働委に救済を申請、同委は法人の行為を不当労働行為と認定し救済命令を出した経緯がある。今回は、それに続く不当労働行為の認定になる。
道労働委の命令は①法人は組合の要求事項に対して自らの見解の内容や根拠を具体的かつ明確に示して組合の理解を得る努力をするなど誠実に団体交渉を行わなければならない②団体交渉において不誠実な対応を行うことによって組合運営に支配介入してはならない③法人が団体交渉を拒否したこと、組合に切実な対応をしなかったこと、団体交渉を拒否したり不誠実な対応で組合運営に支配介入したことについて縦1m、横1・5mの白紙に楷書で明瞭に記載し、大学中央棟の正面玄関の見やすい場所に命令書写しの公布から7日以内に掲示し、10日間掲示を継続しなければならない――というもの。
組合が道労働委に救済申し立てをしてから、法人理事長は2人も変わり専務理事も今年に入って突然退任した。さらに、今年3月には再雇用教員の年俸を800万円から480万円に一方的に下げたことを巡る裁判で、札幌地裁は法人に1億円の支払い命令を出している(法人は控訴)。
札大を巡る労使の不協和音は、道労働委の救済命令で終息するのだろうか。