「北のミュージアム散歩」は、道新文化センターのノンフィクション作家を育成する「一道塾」(主宰・合田一道)の塾生が書いた作品を連載するものです。道内にある博物館、郷土歴史館、資料館などを回り、ミュージアムの特色を紹介しながら、ミュージアムの魅力やその存在する意味を問いかけます。
第96回は、札幌市の「白い恋人パーク」です。ぜひご愛読ください。
(合田一道)
■第96回 白い恋人パーク
-楽しみながら学べる夢の洋菓子工場-
白い恋人パーク(外観)
ISHIYAが運営する「白い恋人パーク」は、地下鉄東西線宮の沢駅から徒歩約7分のところにある。石水勲2代目社長が、札幌市に米国の『ハーシーパーク』に感銘を受け、1995年(平成7年)にオープンした。その後、様々な施設を増築し、2019年(令和元年)に、新たな魅力作りと混雑緩和のためリニューアルした。
ISHIYAの前身の石水製菓は、1947年(昭和22年)に石水幸安によって澱粉加工場を創業。駄菓子を中心に製造販売した。10年後に高級洋菓子路線へ方針を転換し、その後会社名を現在の名称に変更した。1976年(昭和51年)、看板商品であるラング・ド・シャーのクッキーでチョコレートを挟むお菓子「白い恋人」を発売。名称の由来は、雪がちらつく中で創業者が「白い恋人たちが降ってきたよ」と何気なく呟いたこと。道内限定販売で人気が高まり、北海道を代表する土産物となった。
チョコトピアハウス1階にはチケットセンターがある。ここから先が有料エリアのため、チケットを購入する。階段を上って2階は、「博士の趣味の部屋」になっている。博士とは「ジュリアン・ダンディーノ・イシミッティ博士」のことで、チョコレートを愛しすぎた博士である。この部屋は楽しい映像で、チョコレートの秘密を紹介している。
館内の画像1:チョコトピアハウスの「博士の趣味の部屋」
すぐ隣には噴水と「タイムトラベルルーム」と呼ばれるプロジェクションマッピングがあり、チョコレートの歴史を12分で説明。ここで、チョコレート誕生に重要な4人の人物を紹介する。からくり時計塔とチョコトピアを結ぶ渡り廊下は、「コレクションルーム」と呼ばれる。博士が世界中から集めたチョコレートカップなどを、展示している。
階段を上って3階は「チョコトピアファクトリー」である。ここでは、窓越しに白い恋人とバームクーヘンの製造ラインを見学できる。工場内のモニターで、現在の製造個数をリアルタイムで確認もできる。さらに白い恋人の製造過程を、モニター及びアナウンスで説明。また子供向けに、マスコットキャラクターの入った製造ラインの説明もある。突き当りに、2023年(令和5年)4月に三越創業350周年記念大黄金展で出品されていた、18金製の白い恋人缶が展示されている。
4階はチョコトピアマーケットになっている。お菓子作り体験コーナー、マジカルマルシェと呼ばれるフォトスポット、カフェがある。
館内の画像2:「チョコトピアファクトリー」より
チューダーハウス2階へ行く。ここに、石屋製菓の歴史を紹介した「ISHIYAミュージアム」がある。石屋製菓の創業から現在に至るまでの歴史を時代ごとに説明、映像で3代目社長が解説する。石屋が昔発売していた菓子や、白い恋人パークの設計図面の展示もある。パーク外観の建築様式は、英国の古都チェスターがモデルである。
館内の画像3:「ISHIYAミュージアム」より
隣はコンサドーレ札幌に関する展示物である。コンサドーレのユニフォームやサッカーボール、サイン、写真等が飾られている。2代目社長はコンサドーレの創設に尽力した。
パーク内は、15~16世紀のチュダー王朝時代の街並みを再現。「ガーデンエリア」は、英国式庭園となっている。からくり時計塔の演奏の様子が見え、観光客を楽しませる。
利用案内
住 所:〒063-0052 札幌市西区宮の沢2条2丁目11-36
電話番号:0120-375-562(フリーダイヤル)
開館時間:10:00~18:00(有料エリアの最終受付は16:30)
休 館 日:なし
入 館 料:通常料金:大人(高校生以上)800円、小人(4歳以上中学生まで)400円、3才以下無料
10人以上団体料金:大人(高校生以上)500円、小人(4歳以上中学生まで)300円
アクセス:地下鉄宮の沢駅より徒歩7分
JRバス、中央バス「西町20丁目」下車と徒歩7分
付近の見どころ:宮の沢白い恋人サッカー場
2000年(平成12年)にできたコンサドーレ札幌の専用練習場。天然芝にヒーティングシステムを採用。スタンドは約3000人の観客を収容できる。
文・写真:大渕 基樹