10月12日告示、24日投開票の衆院5区補欠選挙の候補者による公開討論が5日(火)午後6時半から札幌市厚別区のシェラトンホテル札幌で行われた。主催は北海道新聞社。補選に出馬する候補者同士が集まり自論を戦わせるのは今回が最後となるため、有権者やマスコミ関係者など約200人が集まった。


公開討論に参加したのは、民主党新人の中前茂之氏(38)、自民党前職の町村信孝氏(65)、共産党新人の宮内聡氏(47)の3人。
なぜ出馬するのか、何を一番訴えたいかの問いに、中前氏は「大学(北大工学部)時代にバスで通っていたが冬の渋滞はひどかった。何とかしたいと思い国家公務員になり(建設省入省)、当事者として道路等の改善を進めてきた。15年間国家公務員だったが、地域に貢献したいという思いが強くなり立候補した。北広島は曽祖父のルーツでもあり、お役に立ちたいと考えた」と述べた。
町村氏は、「補選は民主党候補がルール違反で当選して辞職したためのやり直し選挙。私は初当選から27年間、清潔でクリーンな政治を実践してきた。不正を許さないと訴えてご支援をお願いしたい。また、民主党政権の中間決算としての選挙でもあるが、外交、経済、特に北海道経済の悪化はひどい。このままでは日本も地域も沈没してしまう。それに歯止めをかけるために出馬した」などとやり直し選挙であることを強調していた。
宮内氏は、「医療や福祉など、菅政権になってよい方向に進んでいない。どの政党なら政治を変えられるかを考えて欲しい。真剣に応えられる政党は共産党しかない。共産党が伸びてこそ政治を変えられる」とアピールしていた。
景気回復については、「雇用をしっかり守っていくことを短期的な課題とし、中長期的には新成長戦略で経済政策を実施していくこと。5区で見ると、江別に予定されているフードバレーや新千歳空港の活用、雪を資源として利用したり、データセンターの誘致などハンディをポテンシャルとして使っていくべき」(中前氏)、「北海道は政策不況。スクールニューディール、防災ニューディールで耐震工事など地元の業者ができる事業を増やすべき。現政権はスピード感がない。それが株安、円高対策の遅れにつながっている」(町村氏)、「内需拡大政策に切り替える必要がある。中小企業対策に1兆円を使うべき。林業関係に予算がついて道内林業に変化が出ている。予算がつけばその分野は活況になる。資本金10億円以上の会社は内部留保のほんの一部でも雇用に使わせれば良い」(宮内氏)とそれぞれ訴えた。
政治とカネの問題や小沢一郎元幹事長の政治資金規正法違反の強制起訴、尖閣諸島問題への対応などについても討論が行われたが、目だったのは町村氏が「超党派」での対応を強調していた点。
町村氏は、「ひとつの党だけでは解決できない危機的な状況がたくさんあって、超党派で力を合わせないと日本丸が沈没する、政治家の力量で選んでもらいたい」として自民党よりも政治家・町村をアピールしていた。
中前氏と町村氏、宮内氏が並んだ討論会は、町村氏の質量感が際立ったことは確か。政治家生活27年間、閣僚経験も豊富で派閥領袖を務める町村氏は本来なら負けるはずのない戦いだ。民主党の勢いが色褪せてきた時期だけに昨年8月のような熱気はないのも追い風になるだろう。
しかし、前評判の悪かった中前氏は討論会では大御所相手に十分に論戦を戦わせた印象が残った。中前氏は「町村さんが初当選したのは39歳だったと聞いている。何をしてきたかではなく、これから何をするのかで5区の代表を選んで欲しい」と述べるあたり、切り返しもできていた。
有権者はどんな選択をするのか。
(写真は、シェラトンホテル札幌で行われた公開討論会)

この記事は参考になりましたか?