札幌市は北1西12の「さっぽろ芸術文化の館」(芸文館)を3年後に廃止する。2014年度から北1西1街区の再開発で建設が始まり、19年に完成する市民交流複合施設内の高機能ホールにその機能を継承する。芸文館は、札幌市が08年に約28億円で落札した旧北海道厚生年金会館。廃止後に建物を解体するが跡地利用は今後検討する。(写真は、廃止が決定したさっぽろ芸術文化の館)
旧北海道厚生年金会館は、社会保険庁改革の一環として独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構が入札を実施、08年11月に札幌市が28億5230万円で落札した。座席数2300席のホールとホテルを併設、延床面積は約3万㎡、敷地面積は約1万1000㎡。隣接する駐車場(約3000㎡)は札幌商工会議所が6億1500万円で落札した。
市は芸文館として利用を継続してきたが、1971年に建設され築後43年が経過しているため老朽化が進み、今後継続して利用するには大規模な更新投資が必要になる。また、市が中心になって再開発を進める北1西1街区に高層ビルとともに市民交流複合施設が建設され、その核施設として2300席の高機能ホールが設置されるため廃止決定した。
市は、中心部にある「芸文館」、「市民ホール」(北1西1、1500席)、「教育文化会館大ホール」(北1西13、1100席)を芸術と文化の発信拠点と位置づけている。12年度の稼働率は芸文館が60%、市民ホールが67%、教育文化会館大ホールが81%と高い。芸文館は休日や祝日稼働率が70%を超えているという。
こうした高い稼働率があめるため「3館体制の維持は不可欠」(観光文化局文化部西野守彦調整担当部長)としており、芸文館の機能を19年度に竣工する高機能ホールに継承させることにした。ただ、市民ホールは建物リース方式で大和リースが建設、市が6年半のリース期間を設けて賃借している形式。こちらのリース期間は15年央で終了するためリース完了後は建物の譲渡を受けるか更地にして市が新たに土地利用を計画するのかは未定で、多目的ホール3館体制が維持できるかは不透明。
高機能ホール竣工後に、芸文館は廃止・解体されるが跡地利用については売却を含めて今後検討していくとしている。