20年前の話かと耳を疑った。道議会の自民党会派が建設中の新庁舎の議員控室に喫煙所設置を決定したという話である。道民の税金を使って建てる議会庁舎に議員の嗜好の場を設けることに賛成した議員の社会的感覚を疑う。(写真は、来年1月に竣工する道議会新庁舎)

 道議会新庁舎に喫煙所を設置するかどうかは道民を巻き込んだ話題になっている。喫煙所設置は当初、道議会の自民党会派と民主党会派が求めていたが、民主党会派は最終的に喫煙所を設けないことを決めた。自民党会派の間でも異論が出て、鈴木直道知事も「税金で設置するのは困難」と表明。これを受けて自民党会派は改めてアンケートを実施。結果は賛成多数で設置を10月4日に最終決定した。

 道民の多くは自民党会派も最終的に設置断念を決定し道民世論に応える選択をすると考えていただけに、設置の最終決定に怒りをつのらせている。かねてから喫煙所設置に反対してきた北海道医師会の長瀬清会長が「北海道の恥」と語ったのは多くの道民の気持ちを代弁している。

 税金で設置するのは難しいという知事発言を受けて、JT北海道支社は喫煙所設置経費を寄贈するらしい。JTは環境保全や災害支援などの社会貢献活動に全国で年間約60億円を投じている。今回の喫煙所寄贈も社会貢献活動と位置付けているのだろうか。JTは道議会自民党会派の喫煙者のみの限られた人たちを対象にした寄贈ではなく、もっと広く北海道の持続的発展のためそのおカネを使うべきではないのか。

 110億円を投じて建設される地下1階、地上6階建ての建物は徐々に姿を見せてきた。最上階のガラス張りの壁も秋空にマッチとして透明感を一層際立たせている。そんなガラス窓を曇らせる今回の自民党会派の喫煙所設置決定である。


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