4月の北海道知事選に出馬する夕張市長・鈴木直道氏(37)の全道後援会「活力あふれる北海道の未来を実現する会」の会長に家具・インテリア製造販売で全国最大手、ニトリホールディングス(HD、東京本社・東京都北区、札幌本社・札幌市北区)会長の似鳥昭雄氏(74)が就いた。会長代行には、調剤薬局全国最大手、アインホールディングス社長の大谷喜一氏(67)、会長特別補佐には元ニトリ特別顧問の長内順一氏(72)がそれぞれ就いた。(写真は、ニトリHD似鳥昭雄会長)
道知事選を巡って、札幌や北海道の主要経済人、全道の道議会議員、市町村長らは国土交通省北海道局長の和泉晶裕氏(57)を推していた。擁立の先頭に立っていたのは、札幌商工会議所の岩田圭剛会頭(65)。国交省北海道局長としての手腕や各省庁に顔が広い和泉氏が知事候補として最適と昨年から水面下で出馬環境の整備に入っていた。
4期目の高橋はるみ知事が昨年12月まで進退を明らかにしなかったため、和泉氏擁立の動きは表立ってできず結局、年明けから岩田氏や各道議、市町村首長らが一気に和泉氏擁立に向けて走り出した。
しかし、自民党道連会長の吉川貴盛農水相(68)と長谷川岳参議(48)の2人は、東京都庁職員から財政再生団体の夕張市長になり、菅義偉官房長官(70)とも近く、法政大同窓、苦学生経験でも共通する鈴木氏擁立に傾斜。その鈴木氏が和泉氏の機先を制して自民、公明の出馬要請前に自ら立候補を表明、流れは一気に鈴木氏になり和泉氏擁立は幻に終わった。
知事候補は一本化されたが、和泉氏擁立で動いてきた岩田氏ら経済人、道議らは「自民推薦候補を支援する」と言うものの、わだかまりは簡単には拭えない。一方で、鈴木氏擁立を考えていた菅ー吉川ラインにも対立候補擁立で動いた経済人らにスッキリしない気持ちを抱いているのは否めない。
そんな中、鈴木氏の全道後援会会長に就いたのが似鳥氏。似鳥氏は、言わずと知れた北海道発祥で日本を代表する企業になったニトリHDの創業者。活動の拠点を東京に移しているため東京駐在の札商副会頭として日ごろは活動しているが、今回の知事候補選びには深入りしなかったため、色がついていない。さらに安倍晋三首相(64)や菅官房長官とも近いうえ、夕張市で桜の植樹活動を続けたり企業版ふるさと納税をしたりするなど、鈴木氏の後援会長として最も座りが良かった。
後援会長としての似鳥氏の役割は、鈴木氏支援の流れを全道に浸透させることに加えて岩田氏ら札幌・北海道の経済人と官邸の相互理解に向けた土壌を作ること。言うなれば官邸と札幌・北海道経済界の“手打ち”を演出する役割が求められている。その時、環境づくりを担うのが元ニトリ特別顧問で黒子役を経験した長内氏。奇しくもニトリ躍進の原動力になった似鳥ー長内コンビが、道知事選でも復活することになる。似鳥氏が鈴木氏の後援会長に就くことが、最も座りの良い選択だった。