高橋はるみ知事の3期目スタートに伴う道庁6月人事で、農政部出身者が知事部局の中枢を占める布陣になった。総合政策部長の荒川裕生氏(56)や総合政策部地域振興監の竹林孝氏(55)、東京事務所長の加藤聡氏(55)など古巣を離れての登用が続く。麻田信二氏以来途絶えていた農政部出身副知事が誕生する土壌が、着実に出来上がりつつある。(写真は道庁)
農政部は、3年ほど前に発覚した関与団体との飲食問題が道の倫理規定に反するとして当時の西山泰正部長や富樫秀文次長などが事実上の更迭となり、人事ローテーションが狂ったことがある。西山氏は副知事に最も近いと言われていたが、退任し北海道銀行入りした。また、富樫氏は、次期農政部長とされたが、議会事務局長に転じ昨年5月に道農業開発公社理事長に就いている。
西山氏の後任部長となったのは、当時日高支庁長(当時)を務めていた細腰良一氏で、その後09年5月に空知総合振興局長だった東修二氏が就任した。
今年の6月人事で農政部長になったのは羽貝敏彦氏(57)。東氏と同じく空知総合振興局長から本庁に戻った。農政部次長も務めており順当な起用。農政部長には十勝総合振興局長だった竹林氏の呼び声もあったが、年齢が羽貝氏より2つ下のため、部長ポストを2年務めた後の処遇が流動的だったため、農政部を離れて総合政策部地域振興監に就くことになった。
「竹さんは、十勝総合振興局長を2年間務めたが、十勝は町村との付き合いが密接。道は、昨年の支庁制度改革で町村会との関係がぎくしゃくしている。竹さんは十勝で培った町村長との付き合い方を生かして町村会との関係正常化に取り組むのではないか。竹さんの使命はズバリ寺島光一郎町村会長(乙部町長)対策ですよ」(道庁幹部)
総合政策部長の荒川氏ももともとは農政部だったが、知事政策部門に転じて以降は高橋知事の側近として2年前から知事室長を務めていた。総合政策部長には旧企画振興部出身者が就くケースが多かった。農政部出身者が就くのは珍しい。
総合政策部と両輪となって中央対策を手がけるのが東京事務所。所長に就いた加藤氏は農村振興局長から起用された。東京事務所長は、国会議員や官庁との調整が主な仕事で、荒川―加藤の農政部出身コンビが中央対策を担うことになる。一部では、「次の総合政策部長は加藤さんになる目もある」という声が出ている。
農政部出身副知事は5年前の麻田氏以来途絶えている。特別職人事は、めぐりあわせの要素が大きいが、最もめぐり合う確率が高いのが荒川氏だ。順当に行けば2年後、知事3期目後半の副知事に就く可能性は高い。場合によれば1年後にめぐり合うことも想定される。