道は低利用、未利用資源の有効利用を促進するための調査を実施する。道が6次産業化の普及を目指して取り組んでいる食クラスター事業の一環で、題して『もったいない調査』。食品製造の過程で廃棄されているものや未利用素材の発掘を進め、有効利用の出口戦略を探るのが目的。(写真は道庁)

 

考え方のベースになっているのは、ゆずの里として全国的に知られる高知県馬路村の取り組み。馬路村農協では、ゆずの実を使ってぽんず醤油や飲料を作っているほか、ゆずの皮をお茶やジャムに加工、さらに種は高知大学との共同研究でアンチエージング向け化粧品として使っている。ゆずというひとつの資源を最大限利用して付加価値のある商品として販売、こうしたマーケットニーズを的確に掴む視点と手法を道内にも導入しようという訳だ。

 

食品以外の工業分野では、未利用資源の有効利用が進んだケースもある。

道で食クラスター事業の取りまとめ役を務める永田吉則食関連産業振興室長は、自身の経験をこう語る。

 

「私が旭川の第3セクターに出向していたとき、日本製紙が石油高騰から燃料の一部を石炭利用に切り替えた。しかし、石炭を燃やすと大量の石炭灰が出る。この廃棄物は処分場を作って処理しなければならず、新たな土地とコストが掛かってしまう。そこで、路盤材に混入する利用法が開発された。これだと1年間に排出される石炭灰を十分に再利用され、しかも商品として販売でき廃棄物が付加価値を生むようになった」

 

工業分野と食品分野では、低利用・未利用資源の質も量も違うが、発想は共通する。マーケットニーズを的確に掴み改良、加工を加えて商品化に結びつける――北海道に馬路村が生まれるかどうか、『もったいない調査』はその端緒を探る取り組みになりそうだ。

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