宮崎や鹿児島で鶏から高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1亜型)が確認され処分が進んでいるが、北海道本別町で死んだ状態で見つかったオオハクチョウを巡る道の対応に危機管理の欠如を指摘する声が上がっている。結果的に陰性であることが分かったが、鳥インフルエンザの警戒感が広がっている中で風評被害が広がる可能性もある。
本別町で死んだオオハクチョウが見つかったのは1月30日。宮崎県川南町や高鍋町で高病原性鳥インフルエンザが発生した渦中の時期だ。
見つけた町民が本別警察署に通報したのは午前9時だった。その後、道の十勝総合振興局に本別警察署から伝えられたのは同9時40分。
町民による発見から十勝総合振興局に通報されるまで40分を要しているが、時間がかかったとはいえ、ここまでは許容範囲。
しかし、ここからが問題。死んだオオハクチョウを回収したのが午後4時。回収までに6時間が経過しているのだ。
十勝総合振興局のある帯広市から本別町までは冬道でも約1時間で到着する。
小野寺秀道議会議員は、「結果的に陰性だったが、陽性かも知れない死体を6時間も本別町内に放置していたのは疑問。いい加減な対応だったのではないか」と厳しく指摘している。
道は、「回収までに6時間を要したことには反省すべき点がある。1月30日は休日の勤務体制だったために職員がいない中で帯広畜産大学での検査など搬送までに時間がかかった」としている。
小野寺道議はさらにこう畳み掛けた。
「十勝総合振興局が知った9時40分からすぐに対応すべきだったのではないか。鳥インフルエンザには休日は関係ない。危機管理の意識が低く、こうした対応を続けていれば北海道の風評被害が広がるのではないか」
北海道は渡り鳥の宝庫で、野鳥が運んでくる鳥インフルエンザを防ぐのは容易ではない。これまでに1月12日から19日にかけて、浜中町でオオハクチョウ5羽から高病原性鳥インフルエンザウイルスが確認されているが、今のところ鶏など家きんへの罹患は確認されていない。
北海道の鶏舎は密閉度が高く、野鳥や野鼠などの侵入が少ないためとされているが、いつまでも安全という訳ではない。
道は、情報の共有と対応を協議する「北海道高病原性鳥インフルエンザ連絡会議」を2月2日に「警戒本部」に格上げし、対応を徹底することになった。
昨年8月、上川管内を襲った豪雨による被害拡大には道職員の危機管理意識の低さがあったが、今回の本別町のケースはそれと相似すると言われても仕方がない。結果的に杞憂に終わっても万全な備えを欠かさないモチベーションを道庁全体で醸成することが不可欠なようだ。