道は新千歳空港の24時間運用について、現在1日6回に制限されている深夜早朝の時間帯(午後10時~午前7時)の発着枠を当面現状のままとすることを決めた。
道は、新千歳空港の24時間運用のネックになっている1日6便の発着枠拡大を目指して、昨年6月から航路の下に当たる苫小牧、千歳の住民や苫小牧市も千歳市とともに協議を続けてきた。しかし、深夜早朝便は現状の6枠も埋まらない状況で24時間化のニーズは少ないと判断、今後3年間は枠拡大に向けた取り組みを中止することにした。
航路下の地域住民とは、第二ターミナルビルを作る際は苫小牧市側にするという協定が当時の堀知事との間で結ばれていたが、高橋知事が就任して以降、この協定が破棄されるなど住民との対立が深まっていた。
昨年6月、ほぼ6年ぶりに地域住民と道が交渉のテーブルに付き新千歳空港の24時間化に向けた交渉が進展する兆しが見え始めていたが、需要の冷え込みが道と地域住民の雪解けムードに冷や水を浴びせることになった。
新千歳空港の24時間化に向けた発着枠拡大を凍結させた要因は、現状の6枠さえも埋まらないことのほかに、騒音基準の変更を睨んだ道の深謀遠慮がある。国は、国内の各空港の騒音基準を見直すことにしており、航空機の低騒音化に伴って騒音区域が減ることは確実。
道は現状の深夜早朝便の6枠を得るために、これまで騒音対策や地域振興策に道費180億円を投じてきた。そもそも、新千歳空港は国が設置して管理する空港。どんな経緯があったのかははっきりしないが、騒音対策や地域振興策は道が主体的に行うことになっており、国はこの面にはあまり関与してこなかった。
そこで、道は「そもそも新千歳空港は国が管理するのが本筋。今後は道と国が一緒になって騒音対策や地域振興策に取り組もうと考え、その仕組みを作ることを先行させる目的もあって発着枠拡大の取り組みを凍結することにした」(高井修副知事)
新千歳空港は、国交省と防衛省が管轄しており、騒音については防衛省が所管。道は防衛省との交渉パイプがないため、国交省を通じて道と防衛省、国交省の3者で協議する枠組を作りたい意向だ。