IMG_0107IMG_0101 フリーキャスターで北大創成研究機構客員教授、北海道独立研究会主宰の佐藤のりゆき氏(64)が20日、札幌市内のホテルで新著2冊の出版記念とテレビ・ラジオのキャスター卒業記念を兼ねた講演会を開催した。佐藤氏は来年春の知事選出馬が取りざたされ、この日は表明があるかとマスコミ各社も参集。講演会の最後には参加者から出馬表明を促されたが、佐藤氏は「今日はその日ではないから。今しばらくお待ちください」と述べ、集まった若者や女性、経営者、市町村関係者約1000人が期待した言葉を先送りした。(写真は講演する佐藤のりゆき氏、大型スクリーン4基も会場内に用意された)
 
 佐藤氏は、HBCアナウンサーからフリーになり、その後18年間に亘ってUHB朝の番組にキャスターとして出演。その中で北海道が低い天井に頭を押さえつけられるように自立していないことを痛感。UHBの番組を辞めた後は、企業経営者など12人で北海道独立研究会を立ち上げ、独立の気概を持って北海道の自立プランを作る活動を始めた。
 
 20日は、この研究会の自立プランを佐藤氏が曽我野秀彦日銀札幌支店長など有識者13人との対談形式で伝える書籍『佐藤のりゆきの新北海道デザイン』の出版記念講演として開かれたもので、併せて42年間活躍したテレビ・ラジオの世界から卒業する謝恩の意味も込めていた。
 
 講演で佐藤氏は、中央官僚たちが『北海道は日本のお荷物になっている』、『日本にぶら下がっているだけ』という認識を強く持っていることを訴え、「今の北海道にはプランがなく実行するものがない。このままでは泥船だ」と名指しこそしなかったが高橋はるみ知事の姿勢を批判した。「北海道を愛している道産子が北海道を創っていく自立プランが何としても必要」と述べ、室蘭工大のお膝元で製鉄ガスを利用した水素製造や北見工大をベースに産業用麻の研究開発を進めることなどを提案していた。また、観光予算を増やして観光施策の充実を図る方策として来道観光客に1泊100円程度の観光振興税など導入するプランも披露した。
 
 さらに佐藤氏は、北海道には株式会社の発想が必要だとし、「経営マインドを持ったリーダーと行政マンが両輪になって日本をぶら下げるようになるべき」と締めくくった。
 
 講演後には、「佐藤氏を知事に引っ張り出す会」代表の藤原直樹氏(音楽プロデュース会社・和心代表取締役、40)が「リーダーの仕事は環境づくり、土壌づくり。知事に相応しい人は、“のりさん”しかいない。今、この場で(知事選立起を)明らかにしてほしい」と迫ると司会役の地域団体、北海道どさんこパンチの大井弘幸代表(赤平市職員)も、「赤平の現状を真剣に聞いてくれたのはのりさんと官房長官だけだった。そこには道庁はなかった」と涙ながらに加勢、会場内は固唾をのんで佐藤氏の言葉を待つ張りつめた空気が漂った。
 
 しかし、佐藤氏は「今日はその日ではない。必ず近いうちに真剣に検討して答えを出す。今しばらくお待ちください」と述べるにとどめ態度を明らかにしなかった。
 
 講演会終了後、記者団に佐藤氏は「知事や市長など首長になるような気持ちは本当に持っていない。ただ、北海道のためならどこへでも出かけて何でもするつもりだ。もうしばらく考えて早いうちに明らかにしたい」と語った。


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