札幌の今、解体ノート2025年版㉘中央区北5条西2丁目旧「エスタ」

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 マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも、数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2025年28回目は、中央区北5条西2丁目の旧「エスタ」。(写真は、解体工事が始まった旧「エスタ」)

 JR北海道(本社・札幌市中央区)の子会社、札幌駅総合開発(同・同)が所有・運営する「エスタ」が、北5西1・北5西2地区第一種市街地再開発事業に伴い閉店したのは、2023年8月31日だった(バスターミナルは同年9月30日閉鎖)。それから2年、2025年9月1日からようやく解体工事が始まった。北海道新幹線札幌延伸予定が閉館当時から後ずれしたことや資材費、人件費の高騰で、再開発事業の見直しが行われていることから、解体時期が遅れた。

「エスタ」は、1978年9月、バスターミナル直結の商業施設として「札幌そごう」をキーテナントに開業。「エスタ」は、スペイン語のエスタシオン=駅・季節の意に由来している。北海道初の駅ビル開業で、ファッションビルにふさわしい名前を付けようと愛称名を募り、応募数3000余りの候補の中から選ばれたネーミング。2000年には、「札幌そごう」の撤退など紆余曲折があったが、開業から40年以上にわたって、衣食住のすべてのニーズに応えられる商業施設として親しまれてきた。

 建物は地下3階、地上11階、延べ床面積は約2万6236坪(約8万6582㎡)、ショップ数は113店舗(2021年3月末)だった。閉館後もそのままの姿で駅前に建っていたが、ここにきて駅南口側には、工事フェンスが建物を覆い始めた。フェンスの上部には「THANK YOU(サンキュー)」の文字が浮かび上がるようになっているが、撮影時点では「T」が、まだつくられていなかった。解体工事の注文者は札幌駅総合開発、解体工事は清水建設・伊藤組土建・岩田地崎建設・札建工業・泰進建設の共同企業体。工期は、2027年9月30日までの2年間となっている。閉館後もなお駅前で存在感のあった残影が、名実ともに姿を消す。

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