穏やかな春の日射しに照らされて、広々とした空間が現れた。札幌市白石区菊水3条5丁目のブリヂストングループ社屋・倉庫跡地。建物がなくなって初めて、土地の広さに気づかされる。広々とした空間は、その土地が辿ってきた歳月を、思い起こさせる不思議な力がある。(写真は、更地になったブリヂストングループ跡地)
ここにあったブリヂストン(本社・東京都中央区)子会社のブリヂストンタイヤソリューションジャパン北海道エリアの社屋、ブリヂストン化工品ジャパン北海道支店などの社屋、倉庫の解体が始まったのは、2023年10月。雪の降りしきる冬期間も絶え間なく解体工事が続けられ、時折、ドカ雪に見舞われた1月、2月頃には、まだ4階建ての白い建物が、解体を拒むように建っていた。
日射しが春めいてきた3月半ばになると、建物はすべて撤去され、フェンス越しに青空が見えるようになってきた。少し高いところから眺めてみると、ここにこれだけの土地があったことを、あらためて体感させられる。周囲に建つ建物の間に広がるこの空間だけが、過去に引き戻されたような空気感を放っている。
土地の所有者は、2023年9月末にブリヂストンからニトリホールディングス(HD、札幌本社・札幌市北区、東京本社・東京都北区)に移っている。解体工事の発注者もニトリHD。跡地利用については、まだ明らかになっていないが、「ニトリ」店舗が近隣にあるため、「ニトリ」以外の商業施設が有力視されている。隣接する「スーパーアークス菊水店」との相乗効果が見込めるホームセンターは最右翼で、ニトリHDが子会社にした島忠(本社・さいたま市中央区)の新業態、「ニトリホームズ」北海道1号店の声も出る。ニトリのファミレスやアパレル専門店の複合化も可能性がありそう。
広々とした空間は、静寂に包まれることなく、次の時代に向けて走り始める。街並みはどう変わっていくだろうか。