北海道新幹線札幌駅「東改札口」巡る土地攻防、創業の地を守った日の丸産業社

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 北海道新幹線札幌駅の「東改札口」建設に向けた動きが始まった。札幌市中央区北5条東1丁目の「東改札口」建設用地の一部に該当する日の丸パーキングが、駐車エリアを半減させ、北側の土地で整地作業が始まった。この土地を巡っては、水面下で攻防が繰り広げられていた。(写真は、フジタの所有地で始まった北海道新幹線札幌駅「東改札口」工事)

 日の丸パーキングを運営する日の丸興発(本社・札幌市白石区)の親会社は、1899年創業の肥料、農薬、石油製品などを扱う老舗、日の丸産業社(同・同)。日の丸パーキングがある北5条東1丁目は、1918年から1974年まで日の丸産業社の本社があった場所。この地は、同社にとっては創業の地、いわば聖地と言ってもよい場所。本社を現在の白石区流通センターに移転してからも、日の丸パーキングとして、創業の地を守り続けてきた。

 そんな土地に変化があったのは、創業家出身社長が死去してから。土地は創業家の所有だったが、相続で親族らに移った。親族のうち、1人が所有する半分の土地は、その後、日の丸興発に売却されたが、親族3人が所有する残り半分は、ゼネコンのフジタ(本社・東京都新宿区)に売却された。これによって、北5条東1丁目の約1800坪は、日の丸興発とフジタの共有物になった。

 しかし、共有物の土地に工作物を建設するためには、共有物分割の手続きをしなければならない。そこで、2023年11月、共有物分割によって、北半分がフジタ、南半分が日の丸興発の所有となった。日の丸パーキングが、駐車エリアを2024年3月1日から半減させた背景には、こうした土地攻防があった。フジタの所有地では、「東改札口」建設に向けた動きが始まる一方で、「日の丸パーキング」は、駐車エリアを半減させながらも運営を継続している。当面、パーキングの閉鎖予定はないという。新幹線札幌延伸に係る土地攻防が随所で繰り広げられた中、北海道の老舗企業、日の丸産業社は、創業の地を守り抜いた。

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