札幌・狸小路商店街に一風変わった店舗・事務所ビルが登場した。狸小路4丁目北に誕生した「狸上る(たぬきのぼる)ビル」(札幌市中央区南2条西4丁目4-3、4-4)がそれ。多くの人で賑わう喧騒の中で、異空間の趣を見せている。(写真は、狸小路商店街に登場したおしゃれな「狸上るビル」)
このビルが建つ前は、遠藤興産(本社・札幌市中央区)が所有する「T4東ビル」が建っていた。そこには、ラーメン店「札幌炎神(えんじん)・狸小路本店」とインディアンフードダイニング「JYOTI(ジョーティ)」が入っていたが、ラーメン店で2020年9月に火災が発生。その影響もあって、同年10月から同ビルは解体工事に入り、同年末には更地になっていた。
その跡地を使って誕生したのが「狸上るビル」。建築計画段階では、敷地面積約75坪(249・89㎡)、建築面積約67坪(221・31㎡)、鉄筋コンクリート造、地上5階建て、延べ床面積は約292坪(965・88㎡)、建物の高さは25・26mとなっていた。建築主は遠藤興産(札幌市中央区)、設計は竹中工務店(本社・大阪市中央区)北海道一級建築士事務所(札幌市中央区)、監理はサン設計事務所(同市東区)、施工は竹中工務店北海道支店(同市中央区)。
狸小路商店街に面した店舗のほとんどは、出入り口が商店街に面しているが、新ビルはセットバックされ、階段が端にあって、1階出入り口前は、吹き抜けのような空間が広がっている。階段の凝った意匠やコンクリート壁にあるアクセント、傾斜のある屋根など、喧噪とは一線を画した静寂な空間が広がっている。どこの、どんなお店が入るのか、春とともに狸小路商店街に新風が吹き込まれそうだ。