マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2023年の14回目は、北区太平6条3丁目の「太平ゴルフセンター」。(写真は、解体工事に入った「太平ゴルフセンター」)
高い鉄柱が、広い土地一帯に張り巡らされている屋外の打ちっぱなしゴルフ練習場。遠くから見ても、ひと目でそれと分かる独特の雰囲気がある。建物ではないが、個性的な構造物の一つで、歳月とともにその地域を特徴付けるような存在感を放つ。1974年に開業した太平ゴルフセンター(札幌市北区太平6条3丁目2-3)は、開業の頃こそ畑作地の中にあったが、時代とともに住宅地が近づき、近年では、すぐそばまで住宅が軒を連ねるようになっていた。
ゴルフは時代を映す鏡のような存在。太平ゴルフセンターも石油ショック、バブル、リーマンショック、そしてコロナ禍と、危機のたびに増えたり減ったりする利用客を受け入れ、浮き沈みのあるゴルフブームの受け皿となってきた。
打席に立つ、一人ひとりのゴルファーの思いを50年間にわたって受け止めてきた太平ゴルフセンターだったが、2023年10月31日で営業を終えた。その翌日から解体工事が始まった。芝には重機が何台も入り、すでに一部の鉄柱は取り外されている。解体工事の注文者は太平ゴルフセンター、工事を行っているのは東日本工建(札幌市白石区)。工事は2024年4月10日まで続く。
5000坪を超す広い敷地は、半世紀の役割を終えて新たな使命を帯びる。その兆しとなるような動きが隣接地で始まっている。2023年12月13日にオープンする「マクドナルド太平6条店」。地域の新しい灯が隣接地からともり始める。