マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の2023年11回目は、中央区南7条西1丁目の「旧「札幌第一ホテル」。(写真は、解体工事が始まった旧「札幌第一ホテル」)

 ススキノの東の端、鴨々川のほとりに建っているのが、旧「札幌第一ホテル」。1964年10月に開業した「札幌電信電話会館」が前身。宿泊、結婚式、宴会、会議などの施設を備えて営業を開始したが、1973年に「ホテルいちい」、1985年に「NTT会館」、1995年に「ホテルルーシス札幌」へと変遷。その後、貸会議室のTKP(本社・東京都新宿区)が2006年にホテル業参入を目的に運営を引き継いだものの、軌道に乗らず運営を断念、2007年に「札幌第一ホテル」が大通西10丁目から移転して営業を始めた。しかし、札幌第一ホテルもコロナ禍の影響があって2020年6月20日に閉館、その後は空き状態が続いていた。

 土地建物は、変遷を経て札幌第一ホテルが所有していたが、2023年5月に積水ハウスグループの積水ハウス不動産東京(本社・東京都渋谷区)が取得した。敷地面積1463坪(4828・96㎡)、地下1階・地上3階建ての本館、地上4階建ての新館から構成されていた。
 解体工事は、2023年10月2日から始まった。発注者は積水ハウス不動産東京、解体業者は本間解体工業(本社・札幌市西区)、工事期間は2024年5月31日まで。近隣では、東急不動産や明和地所、フージャースなどがマンションを分譲しており、跡地の動向が注目される。


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