大成建設、旧HBC本社跡地の複合ビル施工不良で特損240億円

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 大成建設(本社・東京都新宿区)は2023年4月17日、同社札幌支店(札幌市中央区)が建設中だった仮称「札幌北1西5計画」の施工不良に伴う解体、是正工事による損失が、約240億円になると発表した。これにより、連結売上高は当初予想よりも7・2%減少、営業利益は43・6%減少する。(写真は、解体、是正工事が実施される仮称「札幌北1西5計画」)
 仮称「札幌北1西5計画」は、札幌市中央区の旧HBC本社跡地で開発が進められている複合ビル建設。事業主はNTT都市開発(本社・東京都千代田区)、設計は久米設計(同・同都江東区)、施工は大成建設(同・同都新宿区)。2021年10月に着工しており、2024年2月に竣工の予定だった。

 施工不良が分かったのは、発注者の指摘によるもの。大成建設が鉄骨建方(現場で構造部材を組み立てること)の精度を検証した結果、複数ヵ所で発注者の品質基準を満たさない鉄骨建方とスラブ厚(鉄筋コンクリートの床の厚み)があったことが分かった。大成建設は、鉄骨精度測値を改ざんして発注者に報告していた。

 発注者の品質基準を確保するため、着工から1年半の間に組み上がった地上部分をすべて撤去するとともに、地下の是正対象部分を撤去、あらためて建設工事を行うことを決めていた。

 これに伴う工事原価上昇は約240億円となり、特別損失に計上することになった。2023年3月期の連結業績予想は、当初の1兆7700億円から1兆6420億円に7・2%下方修正、営業利益は970億円から547億円に43・6%、経常利益は1000億円から631億円に36・9%、純利益は670億円から471億円に29・7%それぞれ下方修正した。

 下方修正の経営責任を明確にするため、2023年4月から相川善郎社長は月額報酬の50%、社外を除く取締役は同30%、執行役員は同20%をそれぞれ3ヵ月間返上する。なお、建て替えにより、竣工予定は、当初の2024年2月から2026年6月末に延びる。

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