マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の32回目は、中央区北12条西18丁目の「JR桑園社宅309号棟」。(写真は、「JR桑園社宅309号棟」の解体工事)
JR北海道(本社・札幌市中央区)が桑園駅近くに所有しているJR桑園社宅。国鉄時代に建てられたこの社宅は、「国鉄桑園アパート」と呼ばれていた。JR北海道は、経営改善を図るため土地の有効活用を推進、7棟あるJR桑園社宅を解体して分譲マンションや賃貸マンションを建設することを決めている。その嚆矢(こうし)となるのが、「JR桑園社宅309号棟」の解体工事。
他の6棟にはまだ住人がいるが、「309号棟」は早々と住民が退去、4月中旬から解体工事が始まった。解体工事の注文者はJR北海道、解体工事を行っているのはJR北海道グループの札建工業(本社・札幌市北区)。解体工事は今年8月末で終了するが、跡地はC街区として10月頃から賃貸マンションの建設が始まる。賃貸マンションは、敷地面積約344坪(1137・90㎡)のうち198坪(653・90㎡)を建築面積に利用、鉄筋コンクリート造、地上11階建て。戸数は38戸、延べ床面積は約891坪(2942・35㎡)、建物の高さは32・700m。設計、監理は宮川建設一級建築士事務所(札幌市白石区)、施工は宮川建設工業(同)。竣工は2023年度末の予定。
他の6棟は、A街区(札幌市中央区北11条西18丁目、社宅2棟、約1212坪=約4000㎡)、B街区(同、社宅4棟、約1606坪=約5300㎡)として再開発が進められ、A街区にはミサワホーム北海道(本社・札幌市白石区)とJR北海道が共同で2棟、計100戸前後の分譲マンションを建設。B街区には同じく2社共同で50戸前後の賃貸マンションとJR北海道フレッシュキヨスク(本社・札幌市中央区)の食品スーパー「ジェイ・アール生鮮市場」の複合ビルを建設する。A街区、B街区ともに2024年度春に社宅の撤去を開始、2025年度の秋に建設に着手、2027年度以降に竣工予定となっている。5年先には大きく変貌する「JR桑園社宅」、「309号棟」の解体工事はその先駆けと位置付けられる。