土屋ホーム(本社・札幌市北区)は、脱炭素社会の実現に向けた環境共生住宅として、北海道初の木造4階建て賃貸住宅「ラピス」を事業化する。1号物件「ラピス菊水」は、札幌市白石区菊水1条1丁目2-11に建設中で、5月中旬に竣工する。2030年度までに年間100棟の施工を計画している。※動画はこちらの画像↓をクリックしてご覧ください。
(写真は、建設中の木造4階建て賃貸住宅「ラピス菊水」の4階部分)
土屋ホームは、国が2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにするカーボンニュートラルを目指すことを宣言したことを受け、北海道のカーボンニュートラルを牽引する企業になることを意思決定している。北海道は、冬期間の家庭での暖房エネルギー消費が多く、全国平均の約1・6倍。戸建て住宅の省エネ化は進んでいるものの、住宅の約4割を占める賃貸住宅の省エネ化は避けて通れない課題。
中高層賃貸住宅は、鉄骨造か鉄筋コンクリ―ト(RC)造が大半だが、鉄骨やコンクリートなどを作る過程でCO2を排出、工期も長く工事車両の出入りが多いことや冷暖房の使うエネルギー消費を低減できない問題もあった。木造化することによって、C02を固定化でき、軽量化で地盤補強を軽減できコスト削減にも繋がる。また、RC造より工期が40%短く、木材特有の断熱性、調湿性により健康で快適な環境も実現できる。札幌のような積雪地域では雪の重みに耐えられる構造が必要だが、「ラピス」は、柱を太くすることなどで対応している。木材は、道産カラマツ集成材を使用、壁の厚みを増すなどして防火性能も高めた。
「ラピス菊水」は、屋上に太陽光発電パネルを設置して共有部に使用、年間1次エネルギー消費量を基準に対し建物全体で54%削減、「ZEH-M(ゼッチ・マンション)Ready」の認証を取得している。延べ床面積は約251坪(830㎡)、1LDK(12・97坪=42・9㎡)3戸、2LDK(18・44坪=60・95㎡)、8戸の計11戸。駐車台数4台、エレベーターを設置し非接触型顔認証オートロック、宅配BOXを設置、スマホ対応カードキーを採用。防犯カメラは7台、都市ガスの給湯暖房システム。総工費は約1億8000万円、賃貸利回りは7・4%と試算している。
入居者募集について、土屋ホーム不動産(本社・札幌市北区)の瀬川一貴・取締役本店長は、「北海道初の高性能木造中高層アパートメントで、光熱費が約半分に抑えられる省エネ性のほか、木材のデザイン性、断熱性、調湿性、快適性などから相場の2割高い賃料を想定している」と話し、法人契約(社宅)をメインとする考えを示した。
(写真は、「ラピス菊水」の外観)