マチの新陳代謝の実相を伝えるシリーズ『札幌の今、解体ノート』。札幌市内の建物の解体を土地の記憶とともに紹介するコーナーだが、解体後、その土地がどうなったかも知りたいもの。そこで、『札幌の今、解体ノート』で紹介した現場を巡り、その土地がどう活用されているかを、『解体、その後』と題して紹介する。3回目は札幌市北区北31条西6丁目の「ラドン風呂 渥美湯」跡地。(写真は、月極駐車場になった跡地)

 店主の高齢化と設備老朽化で今年3月31日に廃業した「ラドン風呂 渥美湯」。1970年の営業開始から51年で銭湯の灯を消した。1970年と言えば、札幌市の人口が100万人を突破した年。高度成長の恩恵を札幌市もまた享受していた。71年には地下鉄南北線の北24条駅~真駒内駅間が開通、72年2月には冬季五輪が開催され、同年4月には政令指定都市になるなど、文字通り札幌は急成長、「渥美湯」周辺も急速に宅地が進んで行った。
 
 そんな札幌の成長を見守ってきた「渥美湯」だったが、表舞台を静かに退場。今ではその名残はどこにも残ってない。そして新たな使命を帯びる前のウォーミングアップのように、「月極駐車場」として利用されることになった。約300坪の土地所有者は、既に今年5月、ミサワホーム北海道(本社・札幌市白石区)に変わっている。この駐車場の使用期間は2021年8月から22年5月までとなっており、わずか10ヵ月の期間限定。来年5月以降、この土地の役割は、さらに変わっていきそう。



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