マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の6回目は、札幌市西区八軒4条西1丁目の「ツルハドラッグ八軒4条店」(旧「マックスバリュ八軒店」)。(写真は、解体中の「ツルハドラッグ八軒4条店」)
地下鉄琴似駅とJR琴似駅を通って北へ延びる琴似・栄町通。この道路沿いでは、かつて“琴似八軒戦争”と呼ばれた食品スーパーの競争が繰り広げられた。ラルズ(本社・札幌市中央区)の「フレッティ琴似店」と旧マックスバリュ北海道(同・同、現イオン北海道)の「マックスバリュ八軒店」。両店舗は、この通りを挟んでほぼ向き合うような関係だった。
「フレッティ琴似店」は、ラルズの前身、大丸スーパー時代の1979年にオープン。一方の「マックスバリュ八軒店」は、旧札幌フードセンターと旧北海道ジャスコが合併して生まれた旧マックスバリュ北海道誕生翌年の2001年に開店。当時は、ラルズとマックスバリュ北海道が、至近距離で戦う流通戦争の最前線として注目された。
そんな戦争も、旧マックスバリュ北海道が近隣に「マックスバリュ八軒5条店」を新設、「八軒店」は17年2月28日に閉店して収束した。その店舗跡に、同年5月25日に居抜き出店したのが「ツルハドラッグ八軒4条店」だった。
約400坪の細長い土地の所有者は個人で、土地には01年から20年間の賃借権が設定されており、その期限が到来したことにより「ツルハドラッグ八軒4条店」は、今年5月15日に閉店した。
建物は、6月から解体作業に入っている。請負者は、丸真藤田工務店(札幌市東区)、施工は聖建(同市北区)。工期は今年7月末まで。“琴似八軒流通戦争”を経験してきた建物は、20年目の節目で解体され次の新しい使命を待つことになる。