万世閣×サイトシーテック×インフォマート、「DX化が導くホテル・旅館業の未来」

ピックアップ・リアル

(写真は、サイトシーテック・濱野将豊社長)

 ーーDX化の障壁になっていることはありますか。

 将豊 経営者の考え方を変えるのが大変だと言いましたが、これは、北海道のホテル・旅館では、あまり当てはまりません。というのも、北海道のホテル・旅館では、経営者の世代交代が進んでいることもあって、新しいことに対する抵抗があまりないからです。北海道は、広いので、納品書を本部に送ったりする経費を考えると、館の多いホテル・旅館にとって電子化がマストです。札幌を起点に、道内各地に事業所のある事業者では、請求書や受発注の電子化には、多くのメリットがあります。

 中島 「BtoBプラットフォーム」のキャッチコピーは、「デジダル化ならでっかいどうが、ちっちゃいどうに!」です。北海道は、他府県よりも広くて、郵送などのコストがかかるのもそうですし、広いゆえにスピードが鈍る難点もあります。ぎゅっと小さくして、スビードアップを実現することが、北海道の課題だと思います。

 清正 ホテル・旅館は、納品書の数が多いため、紙で送られてきたら、大変な手間になります。それを、何年分か保管しておくとなれば、ひと部屋を使ってしまうくらいになります。電子化することによって、そうしたデッドスぺースを、売り上げの立つスペースに変えられる効果もあります。

 中島 当社の仕組みを導入して、請求書を電子化すると、郵送ではありませんから早く処理できます。値段が間違っている請求書もあると思います。郵送で対応していると、請求書を出し直してもらったりしているうちに、2週間くらいかかることは、しょっちゅうでしょう。たった1通のために、経理が、2週間締まらない場合もあります。インフォマートなら、5分で出し直しが完了します。

 ーー飲食業、ホテル・旅館業でDX化を進めた後には、どんな展望が広がりますか。

 中島 その前に、DX化のリテラシーを高めていくことが必要です。導入してからよりうまく使ってもらうことが大切なのですが、ある意味で、経営の死活問題ではないので、DX化は、なかなか浸透していきません。規模の小さなホテル・旅館では、お客を集める方が大事で、コスト削減は、二の次だと考える経営者も多いでしょう。でも、今のうちからやっておくことが、将来の布石になります。一つの共通したプラットフォームを使うことによるメリットは、既にお話しした通りです。

 DX化を進めるにしても、受発注側が別々のシステムを導入したら、全くメリットがありません。同じシステムを入れてフォーマットを統一することで、コストが下がります。そうした啓蒙的な活動を進めていかないと、『2025年の崖』(日本企業がDXを推進できず、2025年以降に最大で年12億円の経済損失がでると予測される問題)を転がり落ちることになります。それに先駆けて、お手本を示すのが、北海道の役割ではないかと思います。

 将豊 北海道のように、地域の温泉地に大きなホテル旅館が林立しているところは、全国を見てもありません。北海道で大箱と言えば、200室、300室ですが、関西や九州では、50室を超えると大箱と言われます。それくらい、感覚的なずれがあります。北海道では、大きなホテル・旅館が多いため、運営する側には、多くの悩みがあります。

 お客さまの流れによって、売り上げの振れ幅が大きいのもその一つです。苦労を重ねて、経営してきたところが多いので、横の連携が強いのも北海道の特徴です。DX化を進めて、北海道が先進性をアピールすれば、全国のホテル旅館にも良い影響がおよぶのではないでしょうか。

 清正 ホテル旅館業は、装置産業なのでイニシャルコストがかかり、労働生産性も低い。給与もサービス業の中では高くないなど、3Kとも言われる業態になってしまっています。その状況を打開する上でも、DX化は、非常に重要な役割を担っていきます。規模の大小を問わず、DX化が進めば、バリューやベネフッィトを上げることに注力する時間を増やしていくことが可能となり、そのことが業界の魅力を引き上げていくことにつながります。

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