万世閣×サイトシーテック×インフォマート、「DX化が導くホテル・旅館業の未来」

ピックアップ・リアル

(写真は、万世閣・濱野清正社長)

 ーー「万世閣」さんでは、インフォマートのシステムをどう役立てていますか。

 清正 仕入れに関しては、「BtoBプラットフォーム」を一択で導入しました。このシステムを使って、9割以上の卸業者さんと取り引きをしていますが、選択と集中のようなことが起きていて、インフォマートを利用していない卸業者さんとは、付き合いがだんだんと難しくなってきました。半面、きちんとインフォマートで対応してもらえる卸業者さんとは、よりパートナーシップが深まっています。
 弊社のようにグループで700室以上あると、一定のロットに対応できる卸業者さんとしか付き合えないところがあります。弊社が良い条件で仕入れている先があれば、横展開で友好関係にあるホテル・旅館に紹介していますし、逆に紹介をいただいたりしています。ホテル・旅館同士の相乗効果も生まれています。

 ーー実感している効果はありますか。

 清正 都市伝説のように、『歯ブラシ1本いくらかを、すぐに答えられるのが、優秀な旅館経営者』という考え方が、以前はありました。現実には、そういうものをすべて覚えるのは無理です。しかし、パソコンを開いてインフォマートの管理画面を見ると、すぐに分かります。以前は、台帳を開いて確認する手間がかかっていましたから、非常にありがたいですね。

 ーー人手不足解消にも役立っていますか。

 清正 受発注だけでも、発注書を書いて、伝票を書いて、決済をして、という手間が一切なくなりました。従業員たちは、仕入れに要する時間が減った分、他の業務に時間を費やせるようになりました。

 ーー飲食業やホテル・旅館業では、どんな動機でインフォマートを導入していますか。

 将豊 最初の導入意図は、皆さんそれぞれです。先代から経営を引き継いで、調理場の発注をガラス張りにしたいという動機で導入するところもあります。また、人手が足りないので、できるだけバックヤードの人員を減らして、サービスに専念できるスタッフを増やしたいという動機で、導入される場合もあります。

 実際に導入しても、トップや現場が、そのシステムを有効に活用するという覚悟や思いがないと、本当の意味でうまく使えません。有効に活用しようと思うと、他の旅館とデータを交換しながら、良い仕入れ先を見つけたりできます。また、食材の自動発注に繋げられないかと考えるところも出てきました。そうした現場の声をインフォマートに伝え、もっと良いシステムに仕上げていくお手伝いをするのも、当社の役割だと思っています。

 中島 そもそも、何のためにインフォマートのシステムを入れるのかを、きちんと把握しているかどうかが大切です。ホテル・旅館では、原価計算で泊食分離ができていないところがあります。宿泊と食事をきちんと分けて計算せず、言葉は悪いですが、どんぶり勘定で対応しているケースもあります。そういう場合は、「BtoBプラットフォーム」を導入しても、効果がなかったりします。人件費や仕入れ価格が、どれだけ下がるかが分かるのがメリットなのに、泊食分離をしていないと、効果はあまり出てきません。

 また、従業員のリテラシーを信用することも大事です。「ITを入れても従業員が使いこなせない」という経営者もいますが、今は誰でもスマートフォンを使えます。実際に導入してみたら、皆さんが結構使えるというところもありました。

 清正 シティホテルでは、夕食が別なので、泊食分離ができているところが多いのですが、ホテル・旅館は、1泊2食がセットなので、最近までは、泊食分離があまりできていませんでした。弊社では、「BtoBプラットフォーム」を導入することによって夕食代、朝食代と室料を明確に分け、日ごと、商品ごとに計上できるようにしています。

 さらに良いのは、請求書ベース、支払いベースで単月の経理を考えるのではなく、発生ベースで即座に経理を締めることができることです。例えば、旅行会社からのお客さまには、手数料を旅行会社に払わなければなりません。請求書ベースになると、翌月か、翌々月に締めることになります。本来なら、今日発生した手数料は、今日締めなければいけない。このシステムを使うことによって、受発注に関しては、少なくとも当日ごとに分かるようになりました。発生した経費は、発生したタイミングで捕捉することに対して、非常に有効です。

 将豊 一般的なホテル・旅館では、今日、どれだけの食材費が使われているかを正確には確認できていません。月が明けて請求書が来てはじめて、どれだけの原価がかかったかが分かります。それが、当たり前だと思っている経営者の考えを変えていくのは、なかなか大変です。

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