PrimoPinguino(プリモピングイーノ)・木下峻一代表取締役インタビュー「中小企業の採用支援特化型コンサルティング」

経済総合

 ーー顧客層は中小企業ですか。

 木下 中小、中堅企業やベンチャー企業が顧客です。採用代行の会社は多いですが、当社は、中小、中堅企業に課題解決を提供していくことにこだわって事業を展開しています。多くの採用代行のモデルは、月額20万円~30万円と、社員1人分に匹敵するような費用を払って、多くの工数をプロに関わってもらうというもの。これは、例えて言えば、10個入り1200円の大きな箱に入ったお菓子かなと。既存の採用代行のモデルが必要なケースも多数ありますし決して否定をするものではありませんが、中小企業に限って言うと、その費用負担が重いのは事実です。また、「10個入りは私には多すぎるので、1個だけ欲しい」そのような企業もいるのではないかと考えています。実際、私も多くの中小企業の支援をしてきて思うのは、最初から月に20時間もコンサルティングや打ち合わせ、実行支援をする必要はないケースが多いなと。企業によっては、最初は小さく始めて、それこそ月1時間のアドバイスと月1時間の実行支援でも、採用や育成、定着の力を十分に強化できます。大掛かりな取り組みをする前に、真っ先に改善すべきところがあるケースが多く、そこに手を入れるだけでも、採用や育成、定着を改善、強化していける可能性がたくさんあります。

 例えば、ハローワークに出ている求人票を見ると、職種に営業職とだけ書いている会社が多い。しかし、それではどんな商材やサービスを扱うどんな会社の営業職の求人なのかが、応募しようとする人には分からない。結果、魅力を伝えきれないまま、他の求人に埋もれてしまい、応募者を獲得できないというケースをよく見かけます。「今回は、こういうターゲットの人が欲しいから、こういうふうに求人をしてみましょう」など、職を探している人たちに会社や仕事の魅力を伝えるために、求人タイトルに強みや特徴を付記したり、あるいは若手がターゲットなら、表記をややポップな感じにすることなどを提案します。それをするだけでも、応募者が来るようになることもあります。

 ーー経営者は、採用に時間がかけられないという面もあります。

 木下 当社では、経営層に採用に関しての助言をして、実務の代行もします。「求人のタイトルをこう変えましょう」ということでしたら、当社で変えます。これまで、中小企業を見てきて思っているのは、プラスになる情報や提案を聞いても、実際にやらなかったり、忙しいなどでやれなかったりということ。それではもったいない。なので、人事顧問、採用顧問といっても、助言だけにとどまらず、実務の代行もすることで、確実に改善を進めて、あるべき姿に近づけていく支援にこだわっています。私は、人事顧問、採用顧問というサービスを通じて、顧客企業により実践的なアドバイスを提供し、経営強化に貢献したいと考えています。

 ーー今後の見通しは。

 木下 今、力を入れているのは、商工会議所の会員企業や、地方銀行・信用金庫の顧客企業への採用力強化に関する情報提供です。具体的には、商工会議所や金融機関とコラボしての採用改善セミナーの開催です。直近では、7月17日に、東京商工会議所でセミナーを開催し、参加された18社の中小、中堅企業の皆さまに、採用改善や人材定着の考え方や術をお話させていただきました。同テーマでのセミナーを東京だけでなく、北海道をはじめとする日本全国で実施していくとともに、中小、中堅企業のメインバンクである地方銀行、信用金庫でも、こうしたテーマでのセミナー開催に力を入れていきたいと思っています。

 今、中小企業は、採用難や人材流出などによって、3社に2社が人手不足になっていると言われています。また、人手不足による倒産も過去最多となっており、今後も増え続ける恐れがあるのが実態です。そのしわ寄せが、貸出金の減少や一部焦げ付きなどの形で、中小企業のメインバンクである地方銀行や信用金庫にいく恐れもあります。回りまわって、それは中小企業、あるいは地域全体に影響を及ぼす、そんなマイナススパイラルが起きてしまわないかと。一方で、全国の金融機関が、今どういう動きになっているかというと、M&Aの支援や人材紹介事業など、経営ソリューションの提供にかなり力を入れているということが挙げられます。でも、これを自前で全部やることは厳しい。

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