ティーケーピー河野貴輝社長が語った「起業の軌跡と危機打開の経営手法」

経済総合

 かつては、売り上げが大きくなっていくと、コストも膨張していった。好事魔多しで、あのまま膨張していたら、どこかで爆発して倒産していたのではないか。結果として、コロナ禍で実験ができた。強制終了のように、必要でないコストは、とことん落とすことができた。売り上げに連動するコストは、どんどん使うというのが私の自論だが、連動していないコストが山ほどあったということだ。会社は、大きくなればなるほど、ブラックボックス化して見えなくなる分野がたくさん出てくる。それをどのように見つけ出して、シミュレーションして潰していくか、あるいは売り上げに連動するコストに仕立て上げられるかが、非常に大事なポイントだと思う。

 今回、コロナ禍を経て営業利益率は15%まで回復した。これからは20%、30%まで営業利益率が上げられるだろう。売り上げを上げていけば、より加速度的に利益も上がっていく。売り上げもそうだが、利益をどう積み上げていくかが一番大事なので、その原点に戻ったと思っている。

 私たちは、空間再生ということで会社を起こしたが、これからは、企業の再生や地方経済の創生にも力を入れていきたい。最近、取り組み始めたのが、大分県の別府市にある「上人ヶ浜公園」の再生だ。この公園は、砂風呂で有名だが、もっと開発すれば、地元の人や観光客が楽しめて企業の研修用にも使える。そういった空間再生にチャレンジしている。

 企業が所有している保養所や研修所をTKPが借り受けて、運用する事業も始めている。核事業からどう派生させて、どの分野を大きくしていくかを考えることが必要だ。皆さんも、自分の会社が手掛けている事業分野を紙に書いて、そこから枝をどう伸ばしていけるか、どの分野を成長させられるか、どこにリソースがあるかを考えたら、事業の展開が分かりやすい。木から林、森へとどう成長させていくか、売り上げをどうやったら鋭角にできるか、ぜひ考えてもらいたい。

 私が大事にしている世界観、企業感の一つに、ピーター・ドラッカーの考え方がある。ドラッカーは、社会問題の解決を事業の機会に転換することによって、社会の要請に応えると同時に利益化することが企業の機能であると主張している。社会の問題解決ができなければ、企業とは言えない。企業が利益を出すのは、社会に必要とされているから。そうならない部門は、早く撤退するか、譲渡する。伸ばせる事業、社会が求める事業に注力して、会社を成長させて大きくしていきたい。現在、時価総額は1300億円だが、早く3000億円、1兆円の会社にしたいと考えている。(終わり)

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