北海道の高校野球界はデジタル活用の時代へ、NTTデータとNTTデータ北海道が VR技術による打撃トレーニングシステム開発

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 高校野球もデジタル活用の時代へーー。練習の積み重ねが上達に不可欠なことはどのスポーツでも共通するが、高校野球界では打撃トレーニングにVR(仮想現実)技術を活用した練習方法に注目が集まっている。とりわけ冬期間の練習にハンディのある北海道では関心が高いという。NTTデータ(本社・東京都江東区)とNTTデータ北海道(同・札幌市北区)が開発したVR技術を利用した打撃トレーニングとは、どういうものか。(投球とセットで打撃パフォーマンスを可視化できる=画像)

「このヘッドマウントディスプレーを装着してみてください」。NTTデータのSDDX事業部サービスデザイン統括部の荒課長に勧められるまま装着してみると、そこには球場のVR空間が広がっていた。投手が投げてくる球が目の前を通過していくリアルな臨場感は想像以上。「球速や球種、右投げ、左投げと幾通りにもパターンを変えられます」と荒課長。
 NTTデータとNTTデータ北海道が、このVR技術を活用した打撃トレーニングシステム「V-BALLER」を開発したのは、2016年。NTTの研究所で生まれた360度のVR空間で、球のスピード、軌跡をリアルに再現する研究成果を利用したもので、2017年に東北楽天ゴールデンイーグルスに提供を開始。これまでにNPB(日本野球機構)、MLB(メジャーリーグ)の複数のプロチームに提供してきた。今回、さらに機能を強化して打者のスイング傾向やクセ、特徴をデータで抽出することによって打撃を客観的に把握できるようにしたのが新バージョンのV-BALLER。

 ヘッドマウントディスプレーを装着して、頭とバット、腰に各種センサーを付けてVR空間を飛んできた球を打つと、打者の様々なデータが得られる。「ボールがホームベースを通過したタイミングに対して、スイングのピークがどこにきているかを見ることによって、振るのが早いのか、遅いのかというデータを見ることもできます」と荒課長。こうした打撃パフォーマンスの見える化によって、選手の特徴が把握でき、得意な球や苦手な球を分析できる。好成績の打者とそうではない打者では何が違うのかもデータから見える化でき、VRによる練習効果の確認も可能となっている。

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