石水創・石屋製菓社長インタビュー「関西進出で吉本興業と組んだ理由を話そう」

経済総合

 ーー関東は3店舗とカフェ1店舗、関西は1店舗で売り上げ規模はそれほど大きくないと思いますが、ISHIYAブランドの浸透という意味では大成功していますね。

 石水 そうですね。売り上げで言うとまだ数億円のレベルですが、売り上げ以上の価値が出ていると思います。目標は21年4月期までに20億円です。

 ーー今後の関東展開の予定はどうですか。

 石水 ありがたいことに良い条件でお話をたくさんいただいているので、社内の体制を含めて整い次第、順次拡大していきたい。しかし、量が作れないので急速には出店できない状況です。

 ーー工場は他の商品も含めてフル稼働に近いのですか。

 石水 そうですね。北広島工場(北広島市)もフル稼働しています。もし、北広島工場がなかったら世の中から白い恋人がなくなっていたと思うくらい、タイトな状況が続いています。

 ーー増設の余地は。

 石水 北広島工場の隣にあったダウ化工の土地を取得していますから増設余地はありますが、建築コストが上がっているので今、新しく設備を造るのは得策ではないですね。方法はいろいろあると思います。
 今回の『ゆきどけ』や『サク・ラング・ド・シャ』はお土産菓子というより手土産菓子です。手土産菓子の販売を始めてから気付いたのですが、お土産菓子とは売り上げの波が違うのです。お土産菓子は観光シーズンや夏休みなどが忙しくて3~4月の売り上げが低いのですが、手土産菓子は年末年始やお中元、ギフト需要、転勤、卒業、入学などのシーズンに伸びます。相互に補完関係にあるのが面白いですね。

 ーー海外戦略についてのスタンスは。

 石水 東京オリンピック・パラリンピックの20年を目標に投資も行ってきましたから海外販売は来年がチャンスだと思っています。実は約190億円の売り上げのうち現在でも半分近くが道外の売り上げになっています。各空港の免税店や関東の店舗の売り上げです。道外売り上げが伸びるペースが早いのですが原動力はインバウンド需要です。国際線の空港免税店は日本中すべてを網羅していますから、日本から出国する時には必ず『白い恋人』があるという状況をつくることができました。

 ーー次に狙うのは海外の空港でしょうか。

 石水 海外の空港に進出することは今のところ考えていません。海外の空港が難しいのは、あまり魅力的なお土産やお菓子を置いていない上に掛け率が日本に比べて高いのです。菓子メーカーとしてはあまりメリットがないと判断しています。

 ーー海外の都市に出店する選択肢はありますか。

 石水 今は考えていませんが将来的には考えたいですね。まず日本一のブランドになってからですね。

 ーー道外売り上げが増えていくと、北海道のスピリッツを堅持するのが難しい面も出てきます。その辺りはどうバランスを取っていきますか。

 石水 そこは考えていかなければなりません。ただ、本州に進出している流通系とは違って私たちは1店舗1店舗で地域ごとに戦略を変えて出店しています。それは強みでもありますがコストがかかるのも事実です。ただ拡大して店舗を増やせば良いという業態ではないので、そこはしっかり考えないといけない。

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