――2月末で今期が終わりますが、見えてきた課題はありますか。
木下 もう少し人材が必要です。今は、全社員で100人弱ですが、さらに20~30人は必要だと考えています。ただ、今でもフロアが手狭になっているので移転も考えています。私はワンフロアでやりたいので、なかなかこれだけの人数を収容できる物件がなくて思案しています(笑)。
――海外展開については如何ですか。
木下 現在は、国内の販売が好調なので国内展開にシフトしています。台湾に現地子会社がありますが、来期までは国内中心で動くと思います。これは、私の持論でもありますが、売り上げが100億円以下の企業は世の中の景気よりも社内要因によって売り上げが左右されるからです。
当社の売上高は50億円を超えた程度ですから、社内体制をしっかり固めて国内販売に注力して売り上げを伸ばしていくことが先決だと考えています。ただ、台湾や中国から引き合いが多いので、今後の海外展開にはチャンスが多いと思います。
――ネット販売などeコマースの現状をどう見ていますか。
木下 eコマースの環境は最近になってかなり変わってきました。eコマースは20年くらい前に日本のマーケットに出てきて、当時ビジネスの先頭に立っていた人たちはネットやパソコンに弱かったので若い人たちに任せることでeコマース市場が伸びてきました。
eコマースと広告の関係で言えば、大手広告代理店は、マーケティング力やクリエイティブ力、ターゲティング力がありましたが、ネットには弱かった。このため、eコマース市場が出てきた時にネット専業の広告代理店が伸びていった反面、大手広告代理店はなかなかその流れに乗れなかった。
逆に言えばネットに強い広告代理店は、クリエイティブ力やマーケティング力がなくてもネット市場の伸びに乗って事業を伸ばすことができました。ところが、最近になって市場が飽和してきてネット販売の差別化が必要になってきました。差別化を図るために何が必要かと言うと、クリエイティブ力やマーケティングの力です。これはネット専業の広告代理店が苦手とする領域です。
当社は、前身の北海道の特産品をネット販売する『北海道・しーおー・じぇいぴー』の時代からeコマースと広告を自前で構築していたため、ネットのスキルとマーケティングやクリエイティブのスキルも兼ね備えていました。しかし、商品開発を先行させるため、ある時期からネット集客を広告代理店に任せるようになりました。しかし、先ほど言ったように1年半ほど前からネット集客を自前化することにしました。
広告代理店に頼っていては他社製品との違いを訴求することが難しくなったからです。自前化の効果が今期になって出てきたということで業績の上方修正が可能になったのです。来期はもっとこの分野に力を入れますから、さらに売り上げを伸ばせると思っています。