道の関与団体である財団法人や社団法人が国の定めた公益法人制度改革にあわせて一般法人と公益法人に移行するのに伴い、道は出資金の返還を求めている。財団や社団ではなかったが、道の関与が100%だった社会福祉法人北海道社会福祉事業団が完全民間に移行して4年、道の財政支援や人的支援はゼロになったものの事業団は民間意識が芽生え、新たな事業にも積極進出している。公益法人制度改革を先取りするような形で自立した同事業団の何が、どう変わったのか――吉田洋一理事長に聞いた。


同事業団が、平成18年に民間に移行するのに伴い、道は約60億円を財政措置した。この資金は民間としてスタートするための持参金の位置づけで、今後は道が一切支援しない表明でもあった。
――道営の社会福祉法人から民間の社会福祉法人になって何が一番変わりましたか。
吉田 職員の意識が変わり民間の経営体質になってきた。これまで道営の事業団だったころは一度も黒字になったことはなかった。赤字はすべて道が補填してくれたが、今は誰も助けてくれない。経営の根っこから変わったので、自分で稼がなければならないと職員全員が思うようになったことが大きい。
――道営のころは職員の給与も道職員並みだったが、民間移行で給与カットもあったのではないですか。
吉田 労働組合とは定期的な組合交渉を行っているが、決算の状況をすべてオープンにして理解を求めている。道職員並みの給与から約3割のカットになったが、組合は良く協力してくれている。
――民間に移行すれば、競争も激しくなる。それでも新しいビジネスチャンスを掴もうと動いていますね。
吉田 今年4月から札幌市の福祉施設2ヵ所の指定管理者に選定された。民間同士の競合があったが当事業団が選定された。札幌市が運営していたときは赤字で、それを市は補填してきたが民間業者に運営を任せる指定管理者制度で赤字の垂れ流しを辞めるということだ。当事業団の運営ノウハウを活用して赤字を出さない仕組みを作っていきたい。
(写真は吉田洋一理事長、以下明日に続く)

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