コープさっぽろ(本部・札幌市西区)が社会貢献の一環として取り組んでいる子育て支援。その中身は、多彩で重層的だが、一つひとつの取り組みはシームレスに繋がっている。店舗や宅配センターに併設している「トドックステーション」、放課後の子どもたちを対象にした学童保育「トドックキッズクラブ」、さらにコープさっぽろが提携協定を締結している「ふきのとう文庫」――、これらは、いずれも子どもたちの居場所づくりを目指したものだ。パート1は「トドックステーション」を取り上げる。
(写真は、「トドックステーション」でくつろぐ親子連れ=コープさっぽろ提供)
コープさっぽろの店舗や宅配センターは、組合員の生活を支える最前線のハードと言える。その器には、機能や効率が求められ、ゆとりや癒しなどのソフトな空間が入り込む余地は少ない。しかし、業務遂行の器であっても、地域の拠点であり、買い物客など多くの人たちが行き交う場でもある。そんな器の中に、地域の組合員や住民が気軽に立ち寄れる場所があってもよいのでは、という逆転の発想から生まれたのが「トドックステーション」。
スタートは、2016年5月、「札幌中央宅配センター」(中央区)に併設された「トドックステーション」だった。開所式では、トドックと一緒にダンスやクイズをしたり、常設のフリーマーケットを拡大開催したりするなど、子育て世帯など多くの近隣住民で賑わい、気軽に立ち寄れるコミュニティの場が新たに生まれることに期待感が高まった。以降、順次設置が進み、現在は道内34ヵ所に開設されている。最近は、「とっとり店」(釧路市)、「のっぽろ店」(江別市)、「すながわ店」(砂川市)のように店舗新設に伴い、「トドックステーション」がセットで開設される例も増えている。
広さは15坪~30坪とまちまちだが、必ず木のおもちゃなど遊具を設置している。おむつの替え台と授乳室もマストで装備している。壁紙は地域の特色を取り入れ、例えば釧路市の施設には鶴が描かれ、江別市の施設にはレンガが描かれるなど、「ご当地トドックステーション」とも言えそうな工夫もしている。組合員でなくても、誰でも無料で利用できるが、多いのは未就学児を連れた家族。店舗に併設している施設では、週末になると父親が子どもと遊び、母親がその間に買い物をする例が多いという。
子どもたちの遊び場としての利用のほか、母親同士の出会いの場としても役立っている。「転勤が多い地域の店舗に併設された施設では、ふらっと立ち寄った転勤族のお母さんが地域のお母さんと仲良くなって友達になる場合も多いようです。また、この施設を利用することで、孤独な子育てから解放されたというお母さんもいます」(組合員活動部部長の米澤優香さん)。
(写真は、「トドックステーション」での絵本の読み聞かせ会=コープさっぽろ提供)
個人が主催するヨガの催しや元保健師による子育て相談、一部の施設ではシニア層が会合に使ったりもしている。こうしたイベントは、コープさっぽろの「トドックステーション」サイトでも告知され、参加者を募ることもできる。また、コープさっぽろの組合員活動部子育て支援推進グループ主催で、毎月1回、札幌市内の施設を1ヵ所ずつ順番に回って、絵本の読み聞かせ会も行っている。「すながわ店」の施設では、市と共同の子育て支援活動を行うなど、今後は、行政と足並みを揃えた取り組みも進めていく考え。
ただ、こうしたイベントで施設を占有することはできず、ふらっと立ち寄る利用者のためのスペースも必ず開けておくことが必要。キッチンも付いており、イベント時以外でも自由に使え、飲食しても構わないため、店舗で購入した食べ物を食べることもできる。
利用者が多いのは「札幌中央センター」や「やまはな店」(札幌市中央区)、「のっぽろ店」などで1ヵ月に130~160組が訪れる。「地域によって利用率にばらつきがあるので、子ども連れ以外のシニア層にもどんどん使ってもらいたい。シニアと子どもたちが、例えばゲームや昔遊びなどを通して交流できればよいと思います」(前出・米澤さん)。コープさっぽろのインフラである店舗と宅配センターに「トドックステーション」が生まれて10年、地域コミュニティの場として着実に地域に浸透している。

































