アークス横山清社長が熱論3000秒①センチペイド(ムカデ)経営でイオン、セブン&アイに真っ向勝負

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DSC_5714 2014年の幕が開けた。「アベノミクス」の正念場の年であるとともに消費増税が経済成長にどう影響を及ぼすか、今後の日本の先行きを左右する分水嶺とも言える年にもなりそうだ。そこで、北海道・東北を拠点に食品スーパーを経営するアークスの横山清社長(78)に業界動向や今年の戦略などについて聞いた。新春特別インタビューとして3回掲載する。(写真は、今年のアークスのスローガンを掲げる横山清社長)
 
『食品マーケットは縮小しているが、一方で出店競争によって売場面積はどんどん増えている。今は過渡期だから、もっと過酷な状況が先に出てくるだろう。大量出店の後には必ず大量閉店が来る。高度成長時代だって、スーと出てパッと消えていたのが“スーパー”だったが、今、大量出店しているコンビニエンスストアやドラッグストアだって同じですよ』
 
『ドラックストアは、ドラッグ部門が25%くらいの構成比しかなくて、後は日用雑貨。最近は食品を加えているが、店頭に並べているのは、鮮度管理などの技術が必要ないグローサリーが中心。値段を付けて並べているだけ。それが成り立たなくなって、より管理の難しい日配品と生鮮にも乗り出しているが、生鮮と言っても魚などは取り扱っていない。カット野菜くらいは管理技術が進めばドラッグやコンビニでも扱うようになるでしょう』
 
『コンビニやドラッグは、だんだんとスーパーに同化していくだろうが、同じ次元に入って行ったらスーパーの方が生鮮も充実しているので競争力はある。本当の意味でのスーパー、コンビニ、ドラッグとの(垣根を超えた)競争はこれからだろう。もっとも、この傾向はアークス誕生後12年間を見てもずって続いてきたこと。撤退したドラッグ店舗の跡に格安スーパーが入ったりすることもずっと続いている。私は、こういうことがいよいよ行き詰ってくる時代に入ってくると思う』
 
『人口減とともに高齢社会と改めて言うこともないほどの超高齢社会に入っている。この中で、スーパーなど小売業が生き残るカギは、財務的に厚みがあって未来投資がシステムとしてしっかりやれるかどうかだ。コンビニのシステムは出来上がっているが、今のままで機能するかどうかは疑問だ。だからこそコンビニチェーンは、次から次と数のメリット生かして新しい基軸を打ち出している。我々も、そういうことに備えて一生懸命やっている』
 
『アークスの主力子会社であるラルズの前身、ダイマルスーパーの年商が50~60億になった時、ダイエーが1兆円を売り上げて『1兆、吉兆、もう1兆』と言っていたことがある。あのころのチラシを取っていたので探せばどこかにあるが、我々が50億円の時にダイエーはその200倍の売上げがあった。今のアークスは5000億円にもう一息。その200倍と言ったら、いくらになるか。イオンやセブン&アイの6兆円なら我々の12倍、そのうち食品は半分だとしたらわずかに6倍だ。しかもこっちは北海道や東北の辺境の地で営業している。向こうは北海道から沖縄まででしょ。そういう面から言ってもこれからが勝負ですよ』
 
『もっとも大して深刻に考えてもいない。勝ったり負けたりして再生して行けばいい訳で、私はこれをセンチペイド経営と言っている。以前はアメーバ経営と言っていたが他の経営者の方が有名になっちゃったからね。センチペイドとはムカデのこと。ムカデのように何本もの足を持っていて進む方向が一緒なら強い。それにムカデはこけませんからね』
                       (以下、次回に続く)

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