大型ホームセンター・ジョイフルエーケー「大曲店」開店10周年 木村勇市社長が語る”次なる戦略”

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IMG_9502 大型ホームセンター(HC)のジョイフルエーケー(本社・札幌市)は、「大曲店」(北広島市大曲工業団地7丁目)の開店10周年を迎えた。品揃えの豊富さと接客力の高さでHC業界では独自の存在感を放っているのが同社。親会社で住宅資材卸のキムラ会長を兼務する木村勇市社長(74)に大曲店10周年を機に策定している次なる戦略について聞いた。(写真はオープン10周年を迎えたジョイフルエーケー屯田店)
 
「大曲店は今年で10年目を迎えたが、オープン以来、売上げを伸ばし続けている。直近の年間売上高は約70億円になった(屯田店は約85億円)」
 

「現在は、大曲店(店舗面積約2万3000㎡)とオープン12年目の屯田店(同2万㎡)、同3年目の帯広店(同1万2000㎡)の3店舗体制だが、いずれも店舗でも大切にしているのは接客力だ。他のHCと大きく違うのはここだと思う。お客様へのおもてなしの心をよりしっかりしたものにするため人間力に磨きをかけることを念頭においており、社員全員に『致知』という月刊誌を読んでもらい毎月発表会も行っている。この取り組みは3年目だが内面から湧き出るおもてなしの心を育てることに役立っている」
 
「HC業界の中では品揃えや商品知識を含めた接客力で差別化できていると思う。最近は競合店の出店も相次いでいるが3店舗の売上げは落ちていない。当社の店舗を選択して目的を持って来店してくれるファンのような固定客が多いのだろうと分析している」
 
「在庫の厚みが違うのも特徴だ。店頭に並べている業務用資材を大量に購入する業者がいても、すぐに補充できる。他のHCよりも在庫が多いのはバックヤードの広さゆえでプロ(業者)対応がしっかりしている」
 
「1店舗には約500人の従業員がおり社員はそのうちの200人くらいで社員比率が高い。チェーン展開による多店舗化は行わず1店ごとに収益を確保していく”個店主義”を貫いており、店長はその店を経営する経営者。本部主導では人は育たない」
 
「店舗は資材、園芸、ペットなど39の部門に分かれており、それぞれの部門長が商品部のような役割をして仕入れをする。もちろん部門ごと売上げ目標、利益目標がある。自分たちで仕入れて自分たちで売るためお客様の反応が分かり商売の面白さを実感できているようだ」
 
「出店ペースは遅いが、もちろん立ち止まっている訳にはいかない。既存店で新たに展開も考えており、当面屯田店で新規事業に取り組む計画だ。その中身については言えないが…。新店は5年に1店舗というサイクルを考えている。人材も育ってきており後2年で旭川や函館方面で出店できる段階だ」
 
「小売業は毎日が変化しており、しかもそのスピードは速い。私も元旦以外は毎日、店に出るようにしている。そうしないと現場の感覚が伝わってこないからだ。当社はキムラが51%、ホームセンターのジョイフル本田(茨城県土浦市)とアークランドサカモト(新潟県三条市)がそれぞれ24・5%ずつ出資しているが、この資本構成に支障はなくうまく行っている。上場についての話も出ておらず特に考えていない」
 
 ジョイフルエーケーの店舗は、外装が黒っぽく重厚なイメージがある。ジョイフル本田の店舗を模倣したものだが、最近は「同じ黒っぽい外観の『スーパービバホーム』(LIXILビバが展開)と間違って来店されるお客様もいる」と木村社長は苦笑する。スーパービバホームはジョイフルエーケー大曲店に近い札幌市清田区に「清田店」を12月にもオープンさせるが、「これだけ至近で競合するのは初めて。どれだけ影響が出てくるのかを見極めて差別化を図っていきたい」(木村社長)としている。

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