ヤオコーの北海道飛び地提携はあるか

流通

 道内のスーパーマーケット業界は、アークス(本社・札幌市中央区)、イオン北海道(同・同市白石区)、コープさっぽろ(同・同市西区)の3極体制と言われて久しい。そこに、「ロピア」が参入、「トライアル」「業務スーパー」を含めた低価格勢力が、ジワリと間合いを詰めている。そうした中、全国のスーパーマーケットが、ベンチマークしているヤオコー(本社・埼玉県川越市)の北海道飛び地提携の可能性が、取り沙汰されてきた。(写真は、「ヤオコー」の店舗)

 人口減少や競争激化、デジタル化の進展などによって、スーパー業界に再編圧力が強まっている。デフレからインフレになり、粗利の増加分で販管費の増加分が賄えないスーパーも増え、今後10年間で再編は、一気に進むとみられている。そうした中で、ヤオコーが、2025年10月に設立した持株会社、ブルーゾーンホールディングス(本社・埼玉県川越市)が、台風の目になる可能性が出てきた。流通科学大学(神戸市西区)の白鳥和生商学部経営学科教授は、「商品調達力やPB開発力、物流・デジタル対応、市場の変化などを考えると、この2~3年で勝ち馬に乗りたいスーパー経営者の最後の駆け込みがあるだろう。ブルーゾーンホールディングスは、こうした勝ち組再編の軸になる可能性がある」と言う。

 ヤオコーは、道内のスーパー各社も視察を絶やさず、ヤオコーの新しい取り組みを模して導入するケースも多い。これまで、1都3県の首都圏のみで展開してきたが、このほど愛知県豊橋市のクックマートを傘下に入れた。このことについて、白鳥教授は、「ヤオコーが、飛び地再編戦略を明確にしたということができる。スーパー再編は、イオン、CGCが核になっているが、地方スーパーにとって店格の高いヤオコーに入って、自分の企業が存続できる選択肢ができた」と分析する。道内には、3極に属さず、多店舗展開する地場スーパーは複数ある。商品調達や資本面で完全な独立系とは言えないところもあって、ヤオコーとの提携の可能性は低いかもしれない。ただ、何があってもおかしくない、道内スーパー業界はそういう段階に入っている。

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