ーー2025年6月にはコープさっぽろの常勤役員の管掌変更もありました。
大見 鈴木裕子常務理事は、昨年6月に商品本部長に就任しましたが、今年6月からは、新たに地域政策室を担当することになりました。鈴木氏は、給食系事業を推進してきましたが、これまで取り組んできたことを、全て成功させてきました。2008年の高齢者配食事業から始まって、道内に6つの配食工場を作り、2011年の福島原発事故後に高まったトレーサビリティにも対応、保育園給食も始めて、今では70園に供給しています。さらに、2021年には、様似町のスクールランチを手掛けることで、学校給食事業にも参入しました。その前には、給食事業で一番難しいとされる病院給食についても、札幌禎心会病院と取り組んでいます。鈴木氏は、コープさっぽろのこうした給食事業を構築した立役者です。
今後の事業展開を考えると、もう一度鈴木氏にこうした分野を担当してもらうことがいいと考え、地域政策室の地域担当を管掌してもらうことにしました。全道179市町村の行政案件に対して、内部の事業をどう組み合わせるか、その繋ぎ役を担当してもらいます。商品本部の体制も改め、グロッサリー食品担当、生鮮・デリカ担当のほか、店舗と宅配をどう統合してメリットを出すかや、ポイント経済圏をどうつくるかなどの営業企画担当の3人体制にしました。
ーーロジスティクス戦略は。
大見 昨年買収したアイアイテー(石狩市)のトップ交代を2025年6月に実施して、岩藤正和君(コープさっぽろ元専務理事)が、グループの北海道ロジサービス(江別市)とアイアイテーの代表取締役に就任しました。今年度からは、アイアイテーと北海道ロジサービスの物流統合に向けた作業に入ることにしました。低温物流がメインで、常温グロッサリーも配送しているアイアイテーは、トライアル、ドン・キホーテ、ラッキー、生鮮市場の配送も行っていますが、一方でコープさっぽろは北海道ロジサービスで配送しており、共通路線化を検討していきます。
――アイアイテーと北海道ロジサービスの合併はありますか。
大見 別々の企業として、互いに効率が上がるようにするにはどうすればいいかを、調整しながら進めていきます。2社合わせて1050台のトラックを保有することになりました。輸送コスト低減、配送の効率化、労働条件向上に向け、さらに取り組んでいきます。
ーーコープさっぽろが物流を自前化する意義は、どこにありますか。
大見 北海道は広いため、物流が分散してしまいがちです。それでは非効率なので、統合をしない限り合理性が出てきません。私たちは、宅配トドックで利尻島、礼文島にも届けています。このように、全道の末端配送まで行っているので、中間物流も合理的に進める方がいい。このことは、コープさっぽろにとっても、業界にとってもいいはずです。
ーーアマゾンとの差別化については。
大見 食品と日用雑貨のドラッグ系商品まで含めて2万5000品目の扱いが毎週できるようになっているのが、宅配トドックです。これで、日常生活に必要なものの約8割はカバーできます。残りをアマゾンがやればいいと思っています。つまり、嗜好品や趣味のものです。
北海道ロジサービスの江別センターには、ダイフク社製の最先端物流装置を新たに導入しました。こうした設備導入によって、延べ床面積2000坪のうちの800坪の空きスペースができました。このスペースを有効活用して、さらに物流機能を強化できるようになりました。このように、物流センターの余力が拡大しており、敷地を含めてもう一段、有効活用したいと思っています。
例えば、無印良品の商品をeコマースで注文すると、注文者には、配送費がオンされます。その代わりに、私たちが無印良品のフランチャイジーになって、無印の商品を宅配トドックで配送することも可能だと思います。このように、eコマース系は、物流費がかかるものが結構あるので、私たちが北海道の物流プラットフォーマーとして受けていくことが考えられます。宅配トドックは48万世帯、道内世帯数の20%をシェアしており、自宅まで週一回届く定期配送機能をどう使って、さらに運ぶ量を増やすかを検討していきたい。
ーー宅配はまだまだ伸びしろがあると。
大見 あると思っています。流通系企業のSPA(製造小売業)は進んでいますが、さらに物流を自前化していこうとしている組織は、前例がないと思います。SPAプラスデリバリー、この領域を狙っていきます。
ーー物流自前化でコスト高になるという声があります。
大見 物流のいわゆる2024年問題によって、これまでの物流業界の慣例が、ある意味で打破されました。もう物流費を安く競わせることはできません。物流は、合理性に基づく全体最適ができるとコスト構造が下がります。複数の業者が同じ路線をわずかな積載で運んでいるのと、1台の車がフル積載で届けるのと、どちらが効率が良いかということです。