イオン北海道、不動産賃貸収入増加を狙いディベロッパー本部新設

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 イオン北海道(本社・札幌市白石区)は、GMS(総合スーパー)やSC(ショッピングセンター)の館全体の魅力度をアップさせ、客数増や不動産賃貸収入増に繋げる取り組みを強化する。(写真は、イオン北海道本社)

 このため、2025年3月1日付でディべロッパー本部を新設、イオンモール(本社・千葉市美浜区)の新規リーシング統括部新規テナント共創部長だった近藤卓氏を、執行役員ディベロッパー本部長とした。近藤氏は、2025年5月20日開催のイオン北海道株主総会後の取締役会で、取締役に就く。

 イオン北海道が、ディベロッパー本部を新設したのは、不動産賃貸収入の増加を図るため。同社の事業構造は、GMSやSM(スーパーマーケット)、DS(ディスカウントストア)などスーパー事業と、館のスペースをテナントに賃貸して得る不動産賃貸収入が2つの柱。スーパー事業の粗利では、販管費を賄えない構造になっており、不動産賃貸収入が、利益の源泉になっている。

 スーパー事業で得る粗利と販管費の差は、2025年2月期で155億7100万円のマイナスで、その前の期と比べて、マイナス幅は、30億8500万円増加した。インフレによる粗利減と人件費の増加は今後も続くため、その差は拡大する見通し。このため、スーパー事業での粗利確保を進める一方で、不動産賃貸事業を強化、賃貸収入アップを積極的に図ることにした。

 2025年2月期の不動産賃貸収入は、西友の事業承継などもあったため、その前の期よりも約4億円増加、180億600万円になった。今後は、GMSやSCの不採算直営部門をテナントに切り替えるなどして、賃貸収入の増加を図る。

 青栁英樹社長は、「当社のSCやGMSは、イオンを中心に集客して、専門店が入るという発想だった。しかし、西友は、直営とテナントのミックスで地域のニーズに応えていた。これも、館の在り方の一つだ」と述べている。ディベロッパー本部の新設は、この考えに沿ったもので、テナントリーシング力を強め、不動産賃貸収入の増加と館全体の魅力を向上させ、客数増にも繋げていく考えだ。

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