アークス(本社・札幌市中央区)と食品トレー容器のエフピコ(福山本社・広島県福山市、東京本社・東京都新宿区)は2025年2月17日、アークスグループ10社のスーパーマーケットで使う、食品トレーや透明プラスチック容器の再生品比率を高める「ストアtoストア」の協働宣言を行った。店舗をベースに、地域の小学生や住民を対象にした環境イベントなどを行い、プラスチック製品の回収率向上に協力してもらう。近くの店舗が、エコ拠点になる「水平リサイクル」を社会に浸透させる。(写真は、アークスとエフピコの「ストアtoストア」協働宣言。左から、アークス・猫宮一久社長、横山清会長、エフピコ・佐藤守正会長兼エフピコグループ代表、高橋正伸専務)
アークスは、これまでグループ9社でトレーやペットボトルを回収、エフピコのリサイクル工場で再生したトレーや透明容器を積極的に使用してきた。再生トレー・透明容器の使用比率は、現在でも76%(2024年11月実績)になっている。ただ、道東アークス(本社・北見市)には、使用済みトレーなどの物流便がなかったため、回収していなかった。今回、道北アークス(同・旭川市)の物流便を使うことで回収可能になったのを機に、アークスグループ10社は、エフピコが進めている、店舗が地域のエコリーダーになる「ストアtoストア」の水平リサイクル(回収した製品が同じ製品になるリサイクルのことを指す)推進する協働宣言を行うことにした。
再生トレーは、新しいプラスチック(発砲ポリスチレン)から作るトレーに比べてCO2排出量が37%低い。また、ペットボトル(ポリエチレンテレフタレート)から再生した透明プラスチック容器は、CO2排出量が30%低い。エフピコは、食品容器メーカーとして唯一、トレーやペットボトルを再生する水平リサイクルを手掛けている。店舗から回収して、再生品が店舗で使われるようになるまでのリードタイムは、約3ヵ月という。
「ストアtoストア」の協働宣言を行っているのは、中国、九州、東北、関西の各シジシーのほか、ヤオコーや相鉄ローゼンなど87社2640店舗。今回のアークスの協働宣言によって、94社2886店舗に広がる。
アークスが使用している食品トレーのうち、6~7割がエフピコ製。これまで難しかった、色付きトレーのリサイクルを可能にする溶解分離技術をDIC(旧大日本インキ化学工業)が開発したことを受け、エフピコは、2025年4月から色付きトレーの再生化にも取り組む。このため、アークスの再生化率も8割まで高まりそう。アークスが使用している食品トレーなどに関わるCO2排出量は、2025年2月期に3800t、2026年2月期には4000tが、それぞれ削減可能になる。
協働宣言に基づいて、アークスグループの各店舗では、トレーやペットボトルの回収意義を、地域住民に浸透させる環境教育や出前授業を、エフピコと協力して行う。エフピコの佐藤守正会長兼エフピコグループ代表は、「道内で初めての協働宣言となるが、一番重要なのは、地域住民の協力。その啓蒙活動をアークスと一緒にやっていきたい」と話した。アークスの横山清会長は、「今回の協働宣言を機会にして、環境リサイクルの啓蒙活動を積極的に行い、さまざまな問題を解決していく一環にしたい。今後もこうした取り組みを進めていきたい」と述べた。