駅売店として国鉄時代から馴染みのあるJR駅の「キヨスク」が、道内で“風前の灯”状態になっている。2025年2月16日(日)に、JR新札幌駅(札幌市厚別区)改札前にある「キヨスク新札幌店」が閉店、残りは、JR札幌駅の2店舗になるからだ。ピーク時の1990年には、道内に約280店舗があったというから、35年で99%が消えた。「キヨスク」は、運営するJR北海道フレッシュキヨスクの社名だけになってしまうのか。(写真は、2025年2月16日に閉店する「キヨスク新札幌店」)
「Kiosk(キヨスク)」は、財団法人鉄道弘済会が、1973年に駅売店の愛称を決めるにあたり、駅・街頭での新聞雑誌売り場として国際的に使用されているKIOSKを引用、本来は、キオスクと発音するが、それにキヨク(清く)のイメージと、キヤスク(気安く利用してもらいたい)を兼ねて、「キヨスク」となった経緯がある。
1987年の国鉄分割・民営化に伴って、全国6社に分かれ、北海道は、「北海道キヨスク」が運営する体制になった。当時、駅構内売店といえば「キヨスク」で、ピーク時には282店舗あったが、徐々に数が少なくなり、北海道キヨスクがセブン-イレブンのフランチャイジーになってFC展開を開始すると、「キヨスク」の閉店スピードは一層早まった。
そして今回、「新札幌店」が、駅高架の耐震補強化工事によって閉店が決まったことによって、JR札幌駅構内の2店舗になってしまう。かつては、札幌駅構内に5店舗あったが、業種転換などで閉店した経緯があり、2店舗も幕を閉じることは避けられそうもない。
運営会社の「北海道キヨスク」は、2021年10月に、食品スーパー「生鮮市場」を運営する「北海道ジェイ・アール・フレシュネス・リテール」と合併して、「JR北海道フレッシュキヨスク」になった。コンビニ、飲食店、土産店、スーパー、駅弁などを手掛けており、2024年3月期の売上高は238億9500万円、営業利益8億1900万円、純利益7億1400万円を計上している。「キヨスク」が社名だけになる時期も、そう遠くないようだ。
なお、JR東日本クロスステーションは「NewDays KIOSK」、ジェイアール西日本デイリーサービスネットは「セブン-イレブン キヨスク」、四国キヨスクは「セブン-イレブン Kiosk」として、各社ともに「キヨスク」の店舗ブランドを継承させている。JR東海リテイリング・プラスは「キヨスク」「グランドキヨスク」「ギフトキヨスク」「ベルマートキヨスク」として、「キヨスク」の店舗ブランドを現在も営業している。また、九州リテールが営業している「キヨスク」は、2店舗のみとなっている。