「ロピア」や「イオン」の巨艦に囲まれた小兵「北海市場」が元気

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「ロピア屯田店」(札幌市北区)や「イオン札幌西町店」(同市西区)の至近距離にある地域密着スーパー、「北海市場」(モリワキ=本社・札幌市西区=が運営)が元気だ。2025年12月期は、過去最高の売上高と純利益を計上する見込みで、6期連続の増収増益となる。(写真は、「北海市場西町店」)

「北海市場」は現在、札幌市内で5店舗を展開。そのうち「屯田店」と「西町店」(西区)のすぐ近くには「ロピア屯田店」と「イオン札幌西町店」がある。以前は、「イトーヨーカドー屯田店」と「西友西町店」だったが、いずれも撤退。代わって登場したのが、メディアで大きく取り上げられることが多い「ロピア」と、道内で実績のある「イオン」だった。ともにスーパーの勝ち組とされ、これまでの「ヨーカドー」「西友」とは違って、影響は大きいとして、「北海市場」は身構えた。

「北海市場屯田店」は、ヨーカドーの撤退が分かった時点から半年間かけて、ヨーカドーの顧客を取り込むべく、商品のグレードアップや店舗のリニューアルなどを実行。宅配事業の新機軸で、リアル店舗のブースター機能を持たせるようにした。要は、「ロピア」とは一線を画す鮮度、品質重視の路線。結果、「ロピア」オープン後の12月は、店舗ロイヤルティーが高まる師走商戦ということもあって、前年同月比で25%の伸びだった。年が明けた1月も、目下10%超の伸びを維持している。

 一方、「北海市場西町店」は、30年来変わらない既存のスタイルで営業を続行。古びた外観の通り、店内も年季が入っているが、商品の鮮度と品揃えは、お客目線で細部にまでこだわるという店舗側の意思が伝わる。「西友」があった時代から共存してきたが、今度の相手は「イオン」。西区には、お化けの数字を弾き出す「イオンモール札幌発寒」もある。しかし、「イオン札幌西町店」がオープンしてからも、売り上げは落ちなかった。11月、12月、1月と前年同月比5%超を安定的に維持、「西友」時代よりも若干だが伸びているという。

 こうした巨艦をものともしない強さは、店舗ごとに品揃えやマーケティングを変える個店主義だ。地域のお客が望む商品を、各店補が仕入れる方法は、チェーンストア理論とは真逆の原点回帰、御用聞き商売とも言える。「北海市場山鼻店」(中央区)も絶好調で2ケタ増を堅持、大三ミート産業(本社・福岡県田川市)がテナントとして入っている精肉部門は、同社が、テナント出店している全国のスーパーやドラッグストア約170店舗の中で、12月は、全国一の売り上げだった。

「北海市場」の2025年12月期決算は、こうした個店主義が浸透して、6期連続の増収増益。とりわけ今期は、人件費やエネルギーコストの上昇で、スーパー各社が減益を余儀なくされている中で、「北海市場」の増益は光る。2026年に60周年を迎える「北海市場」は、流通再編が進む北海道の中で、地に足の着いた地域密着路線を、さらに進化させる考えだ。

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