「イトーヨーカドー」と「西友」の北海道撤退や新参スーパー「ロピア」の出店など、北海道のスーパー業界が、大きく変わろうとしている。2024年に生じた変化は、2025年に、幾重もの波となって、業界を揺らすことになるだろう。リアルエコノミーは、新年恒例のアークス・横山清氏のインタビューを3日間にわたって掲載。社長から会長になってから初のインタビューとなったが、スーパー歴65年になろうとする、横山氏の暗黙知が零れ落ちるような話が、ふんだんにあった。3回目は、道内スーパー業界が直面している変化の先を聞いた。(写真は、インタビューに応えるアークス・横山清社長)
◆2年後に〇か×の決着がつく
私たちも数件、経験しているが、GMS(総合スーパー)など大型店跡への出店は、床をテナントで埋めるだけでも大変だ。千歳・長都と室蘭のGMS跡については、コスト構造と条件を変えて採算が合うように仕組みを変えた上で取得した。言えることは、テナントを埋めることに、相当の負荷が、かかるということだ。GMSの経営は、大変厳しいと思う。とりわけ、地方では、GMS的な要素を盛り込んだ業態は、なかなか採算が合わないのではないか。
最近も、私たちのところに、大型店の跡に入らないかという話は何件もきたが、いずれも最終的には見送った。それは、何も資金をプールしておくためだけではない。今でも、グループで800億円を超えるキャッシュフローがある。その3倍に当たる2500億円から3000億円は、無理をしなくてもすぐ動員できる。機を見ているだけの話だ。採算の合わないものを抱えて、そのうちに合うということは、人口減少などを考えると、ないだろう。お金を使って出店して、競合店のシェアを奪えば、何とかなる、ということだけでは、済まない時代になった。
私は、2023年の暮れに、「3年で方向性が決まる」と言ったが、それから1年が経った。各社が手掛けていることが、正しいのか、そうでないのかは、後2年経ってみればわかるだろう。(終わり、構成・本サイト)