ーー「ザ・ビッグ」の今後の課題は何ですか。
青栁 DSの一番の生命線は、ローコストオペレーションです。少ないコストで収益を上げていくことに尽きます。品揃えを増やせば、人時(にんじ…1人が1時間かけて完了できる仕事量のこと)が必要となるので、それとトレードオフの関係です。「ザ・ビッグ」の考え方は、品揃えではなく、プライスラインでした。プライスライン戦略を決めて、その売価に合う商談を探して品揃えしていました。しかし、それではお客さまにとっては、低価格だが、商品が揃わない不便な状況もありました。それが、果たしてどうなのかとなったのは、コロナの時でした。
お客さまから、「ビッグは安いけど揃わない」と言われ、足りないものを買うために近くのスーパーにも寄るという声もいただきました。スーパーやドラッグの競争相手に揃っている商品は、必需品ではないかということで、もう一度、品揃えを見直しました。SKU(在庫保管単位)が増えすぎではないか、と社内でも議論しましたが、広域もそうですが、普段から来てくれる店になることが大切だと、品揃えを増やしました。順次、惣菜の種類も増やしていきました。付加価値を付けて手数をかける志向も出てきたので、コストが上がります。元々の業態コンセプトから外れるため、そのせめぎ合いをしているのが、現在の「ザ・ビッグ」の状況です。
ーー「イトーヨーカドー」も間もなく撤退して、GMSは「イオン」だけになりますが、その受け止めと、北海道に初進出した「ロピア」についてのご意見を聞かせてください。
青栁 GMSの業態は「イオン」だけになりますが、いずれにしてもお客さまに支持されないといけないと考えています。「ロピア」さんについては、脅威だと思っています。対抗するには、自分たちが決めてきたこと、強いところを差別化していくしかないと思います。スーパー3強に風穴が開くのかどうかは分かりませんが、新しい風は吹くと思います。(終わり)