ダイイチがイトーヨーカ堂と資本・業務提携、出資比率は30%。大規模スーパーと食品スーパーの相互補完・相乗効果狙う

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 十勝を地盤に旭川、札幌で食品スーパーを展開するダイイチ(本社・帯広市)がセブン&アイホールディングスの100%子会社、イトーヨーカ堂(本社・東京都千代田区)と資本業務提携することになった。ダイイチは鈴木達雄副社長が2011年12月に社長に就任して以降、単独での生き残りから提携による基盤強化を目指す方向に転換、コープさっぽろやイオンとの提携も水面下で噂されたこともある。今回明らかになったヨーカ堂との提携は両社の企業風土が近いことやSM(食品スーパー)へのMD(マーケティング)に対する考えも近いことなどから実現した。(写真はダイイチ旭町店・旭川市=2013年7月23日撮影)
 
 両社の23日の発表によると、イトーヨーカ堂がダイイチの発行する第三者割当増資(171万6000株)を引き受け、出資比率は30・04%と筆頭株主になる。調達額は約15億9000万円でダイイチは札幌・清田店や音更町の新規店舗に充当する。
 
 ヨーカ堂にはGMS(大規模スーパー)を道内12店舗展開。苫小牧や札幌・北42条店などを閉鎖するなど、数年前には北海道撤退の噂も浮上していた。ただ、ここ1~2年はGMSも盛り返し、中でも食品フロアは鮮度や値ごろ感、さらに「雨の日シール」といったキメ細かな販促手法が浸透、消費者の支持を得ている。
 
 一方、ダイイチは低価格競争に巻き込まれずに品質や品揃えを重視、道内SMの中でセレクト感のある店舗として消費者のストアロイヤルティを根付かせている。SM業界には“1・3・5”の壁があると言われる。売上高が100億円、300億円、500億円に近付くとそれを乗り越える次の一手が必要になると言う業界の定説だ。ダイイチは、昨年9月期で316億円と300億円を超えたものの次を目指すには“仕掛け”が避けられなかった。
両社の業績や財務体質は良好だが、道内人口の減少や高齢化によってGMS、SMのパイ縮小は避けられず、コンビニエンスストア、ドラッグストアとの競合もあり、両社の今後に対する考え方が一致して資本・業務提携が実現した。
 
 ダイイチはSMの業界団体であるAJS(オール日本スーパーマーケット協会)に加盟しており、AJSのPB(プライベートブランド)『生活良好』を扱っている。一方、ヨーカ堂はセブン・アイHDのPB『セブン・プレミアム』があり、2つのPBをどう有効に組み合わせていくかも課題になる。
 
 道内の食品スーパー業界は、地場のアークスとコープさっぽろ、イオンの3極と言われてきたが、今回、ヨーカ堂とダイイチの提携でセブン&アイもひとつの極を形成する可能性が出てきた。年間売上げ100~200億円レベルの地場ロ―カルSMがセブン&アイのグループに入る可能性もありそうだ。
 調剤薬局を含むドラッグストアでは、イオングループのツルハ、セブン&アイグループのアインファーマシーズに別れる。ドラッグストアで食品売上げが多いサッポロドラッグストアーは、現在大手系列に入っておらず、今後、サツドラを巡るイオン、セブン&アイの駆け引きも起きてきそうだ。

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