コープさっぽろ大見英明理事長インタビュー「ロピアとの戦い方」「アイアイテー買収の狙い」「後継者問題」

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 ーーコープさっぽろグループに商品を卸している食品卸業の帳合変更はあるのか。

 大見 大きくは変更しないが、多少の取り扱い変更はある。微修正の範囲内だ。2020年12月に設立したサツドラホールディングスとの北海道MD機構は、正直あまり進んでいない。

 ーー新たに健康診断事業を始める。

 大見 6月の総代会で決定し、正式に参入した。現在は、コープさっぽろグループの内部職員向けの健診だが、関係官庁の認可を受けて、今年後半から組合員向けにも健診事業を広げる。北海道の健康診断の受診率は、28%ほどで全国でも最低レベル。人口5000人前後の自治体では、病院もなければ、健康診断も実施されていないところがある。コープさっぽろグループは、店舗が109あって、宅配センターが50以上あり、160ほどの拠点がある。職員向けと同時に組合員向け健診事業も行えば、地方に住む組合員の疾患の早期発見につながり、全体として北海道の医療費削減も実現できる。店舗を1店舗つくるのには15億円ほどかかるが、健診車は1台1億円ほど。1店舗つくるより健診車15台を導入した方が、全道に貢献できる。

 ーー最後に、コープさっぽろの最大の課題は何か。

 大見 後継者問題だ。私はオーナー経営者ではないので、後継者をどうするかについて、道筋を付けなければならない。破綻した直後から10年間は、日本生協連から派遣された理事長が2代続いたが、2007年6月にその後を継いでから18年目になる。当時は約1500億円だった売り上げは、3000億円を超えており、関連企業グループの取扱高も800億円以上になっている。当時と違ってコングロマリットのグループになっており、経営の難易度が上がっている。今は、ほとんどが黒字で推移しているが、このままの状態で推移するとは限らない。また、次々と新しい話が来ているので、それらを受けていくとグループ全体で売り上げは早晩、5000億円近くになってくる。
 幸い組合員も年間5万人ずつ増え、出資金もこの8年間で200億円くらい増えた。グループ全体を、どうまとめていくのかということになるが、ポストを与えられていないだけで経営をしていける人はいると思う。中島さん、岩藤さんが退任したので、次は私が退任する番だ。

 ーー生協の経営は、株式会社の経営とは違う。後継者問題は、まさに最大の課題。

 大見 生協は、資本の論理では回っていかない。利害調整が難しく、組合自治を貫徹しながら利益も出さなければならない。配当優先でないところは、株式会社と違う。生協の経営は、株式会社の経営より複雑なのではないか。経営を司ってみてそれを実感している。これくらい大きくなると公共性、公益性も求められ、多方面への目配りも欠かせない。(終わり)

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