コープさっぽろ大見英明理事長インタビュー「ロピアとの戦い方」「アイアイテー買収の狙い」「後継者問題」

流通

 コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の長年の課題となっているのが、店舗事業の黒字化だ。事実上の経営破綻から四半世紀を経て、宅配事業を牽引役に成長軌道を描くコープさっぽろだが、店舗事業の赤字は唯一残る負の遺産といってもよい。大見英明理事長(65)は、3年後に店舗事業の黒字化定着を目指すと言う。宅配事業の今後やアイアイテー買収による物流強化策、さらには後継者問題などについても踏み込んだ。(写真は、コープさっぽろ・大見英明理事長)

 ーー2024年6月の総代会で、岩藤正和専務理事が退任した。退任後の役職は。

 大見 岩藤さんは、2014年6月に常務理事、2020年6月から専務理事を務めた。在職中から、子会社の北海道ロジサービス(江別市)の代表取締役を務めており、退任後は、今年5月末にM&Aで事業承継したアイアイテー(石狩市)の代表取締役も務めてもらう。物流専任で両社間の調整をお願いしている。

 ーー岩藤さんと2年前に退任し、現在は理事長補佐の中島則裕さん(当時専務理事、現北海道生活協同組合連合会会長)と大見さんの3人は、3人4脚でコープさっぽろの再建を進めてきた。

 大見 3人だから、できたと思う。順番から言えば、次に私が辞めなければならない。

 ーー直近の店舗事業の動向は。

 大見 2024年4月の店舗売り上げは、前年より2%程度落ちたが、5月になって1%ほど回復、6月は103・4~5%くらい。年度を通して103%以上にはなると思っている。11月末に、苫小牧市沼ノ端に新規出店する。江別市の野幌店の移転スクラップ&ビルドも、間に合えば期中に出店したい。

 ーー店舗事業は前期が24億円の赤字だった。黒字化が課題だ。

 大見 2026年度で、ほぼ黒字にできると思う。

 ーー赤字の原因は、リーシング店舗が多いためか。

 大見 コロナ禍の2020年度は、売り上げが伸びたこともあって5億円の黒字だった。しかし、フルリーシングの店舗が結構あって、売り上げが少しでも下がったら赤字が拡大してしまう。電気料金高騰の影響や人件費増もあったので、昨年度は24億円まで赤字が増えた。それでも一昨年度よりは良かった。

 ーー宅配事業と店舗事業は両輪。店舗の赤字が業績の足を引っ張る。

 大見 そうだ。(店舗事業の黒字化は)ずっと課題だ。建築費が以前に比べて1・3倍以上になっているので、(黒字化には)ハードルがまた上がる。次から次に店舗を出せる状況ではない。しかし、スクラップ&ビルドで毎年2店舗から3店舗は出店する。出店するからには、地域で一番店を目指す。例えば、函館圏では地域一番店がないため、店舗ではアークスグループに負けている。コープさっぽろグループの魚長(本社・函館市)と宅配事業を含めれば勝っているが、やはり地域一番店がないといけない。

 札幌圏以外では10年以上、スクラップ&ビルドを含めて新店を出してこなかった。人口減少もあって、地方出店にはやや消極的だったが、経年劣化した店舗では競争力が劣る。地方でも、最低限2~3店舗のスクラップ&ビルドは必要だ。
 2007~8年頃につくった店舗は、お金がなかったのでフルリースの店舗が多く、リース料が高い。最近は土地を買って、建物も自前でつくっているので、店舗事業のコスト構造が以前と違う。電力も自己託送で14%ほど内製化することを今年度から始め、日中のピーク電力購入量を減らすことが可能となる。もう一段、店舗のコストコントロールができるようになる。こうしたことも含めて、3年ぐらいで完全黒字化はできると思っている。もちろん、そのためには、店舗事業が伸び続けないといけない。当然、きちんと伸ばす。

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