「ツルハの逆襲が始まる」――そんな予感を抱かせるのが千歳市高台への出店だ。ドラッグストア戦線で鎬を削るサッポロドラッグストアー店舗の真正面に出店しシェアを奪い取ろうというのだ。これまで、ツルハ店舗の近隣にサツドラが出店するケースが多かったが、遂にツルハが牙を見せることになる。ドラッグストア市場は、互いにシェアを奪い合うゼロサムゲームに突入する。(千歳市高台のツルハ出店予定地=2013年6月8日撮影)
 
 写真をご覧いただきたい。左の奥にあるのが、旧コープさっぽろ高台店跡に居抜き出店しているサツドラの高台店だ。JR千歳駅からほど近い静かな住宅街にあるこの店舗はドラッグや食品などを揃え、近隣住民が日用品やスーパーに行くほどではない簡単な食材を買うのに適した小回りの利く店舗として人気がある。
 
 そして右手前に広がる更地がツルハの出店予定地だ。片側1車線の道路を挟んだ目と鼻の先。現場を訪れてみると、「何もここに出店しなくても」という思いとともに、ツルハのサツドラへの対抗意識がいよいよ目に見える形で出てきたことを実感する。
 
 両社の北海道での規模を比較すると、横綱と小結ほどの差がある。2011年度はツルハ1041億円に対してサツドラは441億円。シェアにすると52・1%と22・1%で倍以上開いている。
 
 ツルハはおっとりした巨人のイメージが強く、『焦らず、目立たず、しっかり稼ぐ』というのが企業風土。一方のサツドラは動き回る小兵(こひょう)。『素早く、快活に、しっかり元を取る』というイメージがある。“静”のツルハ、“動”のサツドラとしてドラッグストア業界の好対照と見られているのだ。
 
 そのツルハが“動”へ一歩踏み出すのが、今回の出店。店舗面積は1150㎡でツルハにとっては比較的大型に入る部類の店舗で、こぢんまりした局地戦ではなく徹底した攻撃型の店舗を作ることでサツドラに戦いを挑む構図になる。ツルハの逆襲の本気度合いが試される象徴的な店舗にもなりそうだ。
ドラッグの前にドラッグを出す門前ドラッグという政治的意味を持った出店形式が今後増えることは間違いない。
 
 サツドラは今年後半にツルハの発祥の地である旭川市内に一挙に3店舗を出す。聖地の旭川に攻め込むサツドラに巨人が目覚めたようで、“旭川の借りを返す”逆襲のムーブメントが道内各地に飛び火しそうだ。


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