「北海道経営者フォーラム2024」(主催・北海道新聞社)が2024年3月11日、札幌市中央区のホテルポールスター札幌で開催された。「時代の変化に合わせ、いかに成長・発展されるのか?」をテーマに、コープさっぽろ(本部・札幌市西区)の大見英明理事長とM&Aキャピタルパートナーズ(本社・東京都中央区)の前川勇慈執行役員が講演した。(写真は、講演するコープさっぽろ・大見英明理事長)
大見理事長は、「逆境を味方にする新時代経営~コープさっぽろの実践から~」と題して講演。大見氏は、1998年に経営破綻に至った原因として、理事長のワンマン体制、小型店から大型店まで標準化されていなかった非効率な経営、北京にラーメン店まで開く多角化、銀行の借り入れ過多、さらに400億円にも上る粉飾決算があったとしたうえで、「究極は、他のスーパーマーケットとの競争に負け、組織統制、ガバナンスが効いていなかったことに尽きる」と述べた。
日本生協連合会による資金支援や2ヵ年で1000人に上る大リストラ、新卒採用停止、役職員の給与・報酬引き下げなどを経て、2007年6月に大見氏が理事長就任。大見氏は、職員に向けた情報開示の徹底やボトムアップ型経営体制に変換、フラットな組織づくりを行ってきたことを紹介した。
2008年の生協法改正により、隣接都府県との合併が認められることになったため、大見理事長は青森県の生協との合併を模索したが、厚生労働省から「津軽海峡の中央は公海のため隣接県ではない」と却下されたエピソードも話した。組合員以外にも事業展開をすることが多くなってきたため、コープさっぽろの出資比率を49%として連結子会社から外し、グループ化する方向に舵を切り、グループ企業は現在、34社、年商750億円規模になっていることも示した。
大見理事長は、「生活協同組合は株式会社などと違い中間的な組織のため、行政組織の補完的な取り組みを進めている。2025年のコープさっぽろ設立60周年に向け、公的セクターへのアプローチを積極化したい。時代が生協に近づいてきた」と結んだ。続いて、前川氏が「事業成長に必要な経営の着眼点~存続から成長の新たなステージへ~」と題し、北海道のM&A事情などについて対談形式で話した。